「早急に合理的に解決できるように指示する」被爆体験者問題で国が前向きな発言 体験者が首相と初面会【長崎原爆】

AI要約

戦後79年の被爆地・ナガサキに横たわる大きな課題が、被爆者と認められていない「被爆体験者」の問題である。被爆体験者が首相と面会し、前向きな発言があり、被爆体験者に一筋の光が差した。

被爆体験者の代表である岩永千代子さんが、被爆体験者としての苦しみや認識の違いを訴える。首相も被爆体験者への支援に取り組む姿勢を示す。

岩永千代子さんと首相の面会や被爆体験者への支援に関する具体的な指示が行われ、岸田首相の対応を受けて、長崎市長も前向きな一歩を評価する。

「早急に合理的に解決できるように指示する」被爆体験者問題で国が前向きな発言 体験者が首相と初面会【長崎原爆】

戦後79年の被爆地・ナガサキに横たわる大きな課題が、被爆者と認められていない「被爆体験者」の問題だ。当事者が長崎原爆の8月9日に初めて首相と面会。前向きと受け取れる発言があり、被爆体験者に一筋の光が差した。

被爆体験者 岩永千代子さん(88):私たちが核の影響を受けているという実感を皆さんにお伝えしたい

首相との面会で被爆体験者代表として発言したのは88歳の岩永千代子さんだ。

「被爆体験者」は原爆に遭ったものの、当時いた場所が国が定めた「被爆地域」の外だったとして、被爆者と認められていない。岩永さんは原爆が投下されたとき、現在の長崎市深堀町(爆心地から10.5km)にいた。原爆の後は脱毛や歯茎からの出血甲状腺異常などに苦しんだという。

原爆の放射線の影響ではないか?被爆者と認められていない他の「体験者」たちも、同様に苦しんでいるのではないか?約15年前から、独自に「体験者」たちへの聞き取り調査を行ってきた。

被爆体験者 岩永千代子さん:風邪だと思って病院に行くと、白血病。奇病と思われるような不思議な病気にさいなまれて何これって。1人じゃないでしょあっちもこっちも

岩永さんは、面会で岸田首相に3人の「体験者」が描いた絵を見せようと決めていた。原爆投下直後に見た放射性物質を含む「灰」が降り注ぐ様子や、その後、病に苦しんだ実体験が描かれている。

被爆体験者 岩永千代子さん:(岸田首相に)少し心が動いてほしいね

岩永さんは9日の式典終了後、被爆体験者として初めて岸田首相と面会し、3枚の絵を見せた。

被爆体験者 岩永千代子さん:北東部8km、黒い雨、灰が降った間の瀬地区の松尾恵美子さんが描いたものです。姉は腹が膨れて亡くなりました。髪が抜け脱毛状態だった。これが現実です。内部被ばくの実態そのものです。総理に申し上げます。私たちは被爆者ではないのでしょうか

岸田文雄首相(以下発言のまま記載):被爆体験者の皆様の声、岩永会長から直接聞かせていただきました。この大変辛い経験について、このお話をいただきましたこと、本当に心から感謝を申し上げます。先日の広島でも、被爆体験者の方々への言及をいただいております。政府としては、被爆体験による疾患などへの医療費の助成を行うとともに、昨年4月から一部のがんも助成対象に追加するなど、被爆体験者の方々の支援に努めているところでありますが、しかしながら、被爆から実に80年経過しようとしております。被爆体験者の方々は高齢化されておられます。また、広島との公平性についてもご指摘がありました。政府として早急に課題を合理的に解決できるよう、厚生労働大臣において、長崎県、長崎市を含め、具体的な対応策を調整するよう指示をいたします。厚生労働大臣、ぜひこの課題について真剣に具体的に取り組んでもらいたいと思います。そして、今後とも、核廃絶に向けて努力を積み重ねるとともに、被爆者の方々への援護施策、そして原子爆弾の悲惨な経験を世代と国境を越えて伝えていく、こうした取り組みを誠心誠意に進めてまいりますことを私からも改めてお約束をさせていただきまして、このご挨拶とさせていただきます。

面会後には岸田首相が岩永さんと握手を交わす姿もあり、「体験者」との個別の対話が行われたほか、厚生労働大臣との対話の場も設けられた。

被爆体験者 岩永千代子さん:岸田首相は大臣に向かって指示をしましたね。私たちの目の前で指示をしたということはウソではない、明るい方向に進展するんじゃないかという明るい気持ちになった

被爆体験者についての岸田首相の発言を受け、鈴木長崎市長は9日夕方のテレビ長崎のニュース番組に生出演し、「一歩前進と受け止めている」と語った。

鈴木史朗長崎市長:しっかりと国、県と連携して調整しながら取り組んでいくことが大切だと思っている

(テレビ長崎)