ニセコが海外富裕層にはふさわしくない:interrobang: ニセコが「世界1のリゾート地」になるために「アップデートすべきこと」

AI要約

ニセコは富裕層に人気の高級リゾート地となり、インバウンドを成功させた背景にはスキー場設備の改善やアライアンス化、スキーイン・スキーアウト環境整備がある。

最新式の設備や施設を導入し海外スキーヤーを取り込むためには、スキー場設備への投資が欠かせない。

スキーイン・スキーアウトの環境整備や差別化コンテンツの提供が、ニセコが世界リゾートになるための重要な要素である。

ニセコが海外富裕層にはふさわしくない:interrobang: ニセコが「世界1のリゾート地」になるために「アップデートすべきこと」

今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。

*『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。

『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第40回

『夏は魅力がない?...ニセコが通年型リゾートを目指すことが空論である「納得の」理由』より続く

ニセコといえども、スキー場の設備の多くは、東急や西武時代から利用しているものも多く、老朽化しており、たとえばゴンドラやリフトは快適で維持費も安い海外のスキー場が導入する最新鋭のものから大きく遅れてしまっている。

花園で進むゴンドラやリフトの改修や新設のように、つねにスキー場設備への投資を怠らないことは、地道ではあるが大切な要素だ。スキーヤーは当然よくみている。ヒーター付きリフトや革張りレザーシート、騒音が少なくWi─Fi利用可能なゴンドラなど最新式の設備や施設を導入すれば、海外スキーヤーをもっと取り込むことになる。

スキーリゾートのアライアンス化もある。ニセコが加盟するIKON Pass(アイコンパス)は、世界のスキーリゾートをつなぐシーズン券を発行しており、実際の利用者がどれくらいいるのかとは思うが、少なくとも海外へのPR効果はあろう。

ニセコが持つ、すぐにスキーができるスキーイン・スキーアウトの環境整備も重要だ。すべての宿泊施設がスキー場直結とはいかないが、クーシュベルなどスキーイン・スキーアウトの環境に慣れた海外富裕層をターゲットとする以上、更に増やすことが大切だ。

ニセコのライバルとされる多くの国内スキー場では、ホテルなど宿泊施設が離れていることが多い。寒風が吹きつけるなか、バス停前でスキー板を抱えて循環バスを待つ姿は、海外富裕層にはふさわしくない光景だ。

モルディブやタヒチなどにある、目の前がビーチ、または海上のコテージのように、ダイレクトインが好まれるのだ。

もちろん、北米のベイルやアスペン、ウィスラーなども含め、国内外多くのスキー場の宿泊施設は、スキーイン・スキーアウトではなく、徒歩や車、シャトルバスや循環バスでゲレンデまで向かうほうが多いだろう。スキーイン・スキーアウトだけが決め手ではないものの、ユーザー目線で考えれば、差別化コンテンツであることは確かだ。

【ニセコの最新の状況についてはこちらの記事もご参考ください】