「『核兵器のない世界』へ歩み止めない」 平和祈念式典 岸田首相あいさつ全文

AI要約

原爆投下による犠牲者への哀悼と被爆者への支援の必要性を語る岸田首相。

核軍縮の議論や国際情勢の厳しさを述べ、核兵器廃絶への取り組みを強調。

世界各国や若者の被爆地訪問呼び掛けや核兵器廃絶への道筋を示す。

「『核兵器のない世界』へ歩み止めない」 平和祈念式典 岸田首相あいさつ全文

岸田文雄首相は6日、広島市中区の平和記念公園で行われた「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)に出席し、「核軍縮を巡る国際社会の分断の深まりやロシアによる核の威嚇等により、核軍縮を巡る情勢は一層厳しさを増している。しかし、『核兵器のない世界』への道のりがいかに厳しいものであったとしても、われわれはその歩みを止めるわけにはいかない」と述べた。あいさつの全文は次の通り。

今から79年前の今日、原子爆弾により、十数万ともいわれる貴い命が奪われました。街は焦土と化し、人々の夢や明るい未来が容赦なく奪われました。一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。内閣総理大臣として、ここに原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。

そして、いまなお被爆の後遺症に苦しむ方々に対し、心からのお見舞いを申し上げます。

79年前の広島と長崎にもたらされた惨禍、人々の苦しみは二度と繰り返してはなりません。被爆の実相を後代に伝えつつ、非核三原則を堅持して、「核兵器のない世界」の実現に向けて努力を着実に積み重ねていくことは、唯一の戦争被爆国であるわが国の使命です。

核軍縮を巡る国際社会の分断の深まりやロシアによる核の威嚇等により、核軍縮を巡る情勢は一層厳しさを増しています。しかし、「核兵器のない世界」への道のりがいかに厳しいものであったとしても、われわれはその歩みを止めるわけにはいきません。核兵器不拡散条約(NPT)の維持・強化のため、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での現実的かつ実践的な取組を進め、核軍縮に向けた国際社会の機運を高めるべく、国際社会を主導してまいります。

この点、現在、世界は、冷戦の最盛期以来初めて、核兵器数の減少傾向が逆転しかねない瀬戸際に立っています。これを防ぐためにも、FMCT、すなわち、核兵器用の核分裂性物質の生産禁止条約の推進は重要であり、本年、わが国は、核兵器国、非核兵器国を含むFMCTフレンズの枠組みを立ち上げました。私自身、先頭に立って主体的に関与してまいります。

昨年5月、G7広島サミットにおいて、世界中の指導者や若者が、被爆地広島および長崎を訪問することを促しました。被爆の実相を正確に理解していただくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要です。