仮想空間めぐる“水戦争”…近い将来、世界的に不足する可能性をジャーナリストが指摘

AI要約

水不足が世界的な懸念となっており、これが水を巡る紛争の引き金となる可能性がある

IT企業のデータセンター建設による水の使用量が増加し、地域との紛争を引き起こしている

日本でも水不足の兆候が見られ、水質に関する問題が存在することが懸念されている

仮想空間めぐる“水戦争”…近い将来、世界的に不足する可能性をジャーナリストが指摘

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、世界的な懸念が募る“水不足”について取り上げました。

◆このままだと世界中で水を巡る紛争が勃発!?

長年、世界中で取材を続けるジャーナリストの橋本淳司さんは今、私たちの暮らしに欠かせない“水”不足に危機感を募らせています。というのも、「地球の沸騰化が起きているなか、水の利用ができない土地も増えてきている。気候変動によって水の偏在化に拍車がかかっている」と指摘します。

さらには、「人類は知恵を絞らないと、水を巡る紛争が起きると思う。食糧生産に関わっている水や仮想空間の構築や維持にかかる水も含めて、『我々は水不足とは関係ない』、『日本は水がいっぱいあるから大丈夫』ではなく、実際に水不足に加担している」とも。

農作物など食糧生産に水は欠かせません。また、鉱物資源を得るにしても大量の水が必要で、AIを運用するにも水は必須。なぜなら、データセンターでは冷却水が大量に必要で、いまや人類は何をするにも水が不可欠となっています。

◆IT企業のデータセンター建設が“水戦争”を引き起こす

そうしたなかで問題視されているのが、IT企業のデータセンター建設を巡る「水戦争」です。昨今、世界各地でデータセンターが建設されていますが、その際に重要なのが水源の確保で、それが地域との軋轢を生んでいます。

例えば、Googleはウルグアイにデータセンターを建設し、サーバーの冷却で1日約760万リットルもの水を使用しています。これは市民5万5,000人分の消費量となりますが、実はウルグアイでは厳しい旱魃で水不足が頻発。そのため、水の使い道に関して大きな議論を呼んでいます。

また、Meta社はアメリカ・アリゾナ州にある人口50万人の砂漠の街メサ市にデータセンターを建設。この地域にはすでにGoogleやAppleのセンターもあり、今後の水不足が懸念されています。ちなみに、AIの水の使用量はChatGPTにすると20~50の質問の回答をするにあたって水500mlが必要だそうです。

一方、食糧生産における水の使用量は、例えば鶏肉1kgを生産するのに450リットル。豚肉1kgで5,900リットル。牛肉1kgで2万600リットルとなりますが、現状では海外の水を使って作られた餌で鶏豚牛が育てられているとあって、「大量の水を海外から輸入しているという見方ができる」と橋本さんは言います。

◆堀潤も懸念…日本でも水に関する問題点が

近年、ここ日本でも水不足の兆候はあり、各地でデータセンター誘致や半導体工場の誘致が行われています。そうした中、新たな取り組みも始まっており、例えば、SONYは“使った水はきちんと戻そう”と地下水の涵養を行い、地域共生を推進。これは2013年に国連から表彰を受けています。

しかし、キャスターの堀潤は水に関して心配なことがあるそうで、橋本さんの指摘で知ったということについて言及。水道水に有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が含まれていることが懸念されているにも関わらず、今春から水道の管轄が厚労省から国土交通省へと移管。

堀は「水のなかにどんな有害物質が含まれているのか、健康にどう影響するのかは私たちの健康管理において重要。でも所管が変わってしまった。体に関することを所管する省庁(厚労省)が水道から外れたというのは全然知らなかった」と言います。さらには、「川や農地、地下水など、水に関しては省庁横断的なしっかりとして地域と体を守るための運用を国に求めたい」と話していました。