環境よりも経済…排外的ながら人々の生活に密着し若者を取り込み勢力拡大、近年欧州で注目を集める極右勢力

AI要約

フランスで行われた国民議会の決戦投票で、極右政党「国民連合」が第3勢力に後退し、政治混乱が懸念されている。

欧州では極右勢力の台頭が顕著であり、イタリア、オランダ、ドイツでも極右政党が台頭している。

若者層の政治参加が増えており、環境問題よりも経済や生活に焦点を当てた政党が支持を集めている。

環境よりも経済…排外的ながら人々の生活に密着し若者を取り込み勢力拡大、近年欧州で注目を集める極右勢力

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、欧州で広がる“極右勢力”について取り上げました

◆フランス国内外で大きな注目を集めた“国民連合”

7月7日、フランスで国民議会の決戦投票が行われ、「左派連合」が勝利し第1勢力に。そして、マクロン大統領率いる中道の「与党連合」は第2勢力。一方、第1回投票で優勢となり第一党になるとみられていた“反移民”、“反EU”を掲げる極右政党「国民連合」は失速し第3勢力に。どの勢力も過半数に届かず、法案を可決できない統治不能状態に陥る恐れが高く、開催を控えるパリオリンピックを前に政治混乱が起きるのは確実な情勢です。

今回、大きな注目を集めた国民連合、その前身は「国民戦線」です。創始者のジャン=マリー・ル・ペン氏はかなり排外主義的で、“反ユダヤ主義”、“移民排斥”を標榜していました。しかし、その後党首がル・ペン氏の実娘マリーヌ・ル・ペン氏、さらには現党首ジョルダン・バルデラ氏へと移行するなか、徐々に考え方は寛容になってきています。

そんな国民連合が今回の選挙では第1回投票の得票率で首位に。第一党になる可能性が高まると、フランス国内ではEUから離脱するのか、移民に強行的な対策がとられるのではないかと案じる人が多く、首都パリでは大きなデモが行われました。そして、決戦投票に向け、国民連合と相対する左派と与党は手を組み、極右包囲網を構築。その結果、形成は見事に逆転しました。

ただ、この国民連合だけでなく、ヨーロッパでは近年、極右勢力の拡大が顕著になっています。2022年にはイタリアの総選挙で「イタリアの同胞」が勝利。そして、2023年のオランダの総選挙では「自由党」が圧勝。さらに、今年6月にドイツで行われた欧州議会選では「ドイツのための選択肢」が第二党に躍進。そうしたなか、今回フランスは国民連合の第一党は免れたものの、政治環境としては不安定さを残しています。

◆欧州で広がる“極右勢力”…識者の反応は?

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、今回の選挙を通じて窺えるフランスの政治状況について「右派・左派問わず、各党若い人を続々代表にしている。それはなぜかというと、今回の欧州議会選でも環境問題などを扱う政党の議席が大幅に減っており、環境よりも経済、生活に密着し若者を次々に取り込んでいる」と分析。

その上で、「(東京都知事選で)石丸(伸二)さん(の票)が伸びたように、SNSのアルゴリズムは論争を呼ぶものが見やすくなっている。そうした波に(フランスの)各政党はしっかりと乗っていて、若い人の声を吸い上げている。彼らは当然変革を求めているから、こうして議席数にも影響がある。それは各国変わらないような気がする」と指摘します。

一方、脳科学者で理学博士の茂木健一郎さんは、国民連合の若き党首、28歳のジョルダン・バルデラ氏に注目しているそうで、「次のフランス大統領選挙は2027年だが、彼が出たら受かるかもしれない」と推測。というのも、「(彼は)極右というイメージとは違い、すごく爽やかなイメージで、環境問題にも関心が高い」と語り、今後については「今回の選挙で)極右が第3勢力になって一旦落ち着いたということでは済まされない政治の動きがこれからフランスで出てくるかもしれない」と話していました。