世界遺産登録へ「心わくわく」 歴史調べた元教育長 新潟・佐渡

AI要約

ユネスコの世界遺産委員会で、佐渡島の金山の世界文化遺産登録が審議中。

元教育長の小林祐玄さんは登録を心待ちにし、金山と地元の独自文化に関心を持つ。

歴史調査を通じて金山と地域の関わりを探り、登録に向けて活動する人々に希望を託す。

 インドで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で、「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録が審議される。

 「世界遺産になるほどのものが地元にあったかと思うと、心がわくわくする」。新潟県佐渡市の元教育長、小林祐玄さん(77)は吉報を心待ちにしている。

 構成資産の一つ、相川鶴子金銀山の近くで生まれ育った小林さん。長年にわたる採掘の結果、山がV字に割れたような姿となり、金銀山のシンボルとされる「道遊の割戸」を幼い頃から目の当たりにし、地名の由来や独自の文化などに関心を持つように。小学校教師だった2004年ごろに地元の歴史について調査を始め、金山と関わりのある事柄を冊子にまとめ続けてきた。

 小林さんによると、徳川幕府が資金を投じて労働環境を整備したことで佐渡島の開発が進んだ。その結果、「全国各地から人が集まり、神事芸能や祭礼など、独特な文化が発展を遂げた」という。

 韓国側は金山が「強制労働の現場だった」と主張する。小林さんは金山の元労働者から仕事内容などを聞き取ってきたが、「朝鮮半島出身者は、世間話はしてくれたが、金山で働いていたことについては一切話さなかった」。ただ、「金山での労働は体力がなければ一日と持たない。(日本人でも)命を懸けた仕事だった」と強調する。

 ユネスコ諮問機関が6月に「情報照会」を勧告したことについては「一発で登録だと思っていたから、思い通りにならなかった」と話す。その上で、「ずっと前から世界遺産登録に向けて動いてきた人たちが大勢いるので、うまくいくように願っている」と語った。