″政界渡り鳥″小池百合子東京都知事 最終目的地はやっぱり 「初の女性総理」

AI要約

小池百合子氏が東京都知事選で3選を果たし、圧倝した選挙戦の経緯や学歴詐称疑惑、そして国政復帰への野望について分析される。

小池氏の政治キャリアや登りつめた道、そして今後の展望が検討され、権力欲の源泉についても考察される。

都知事としての3期目に望む目標や、最終的な展望について、今後の動向や可能性も含めて考えられる。

″政界渡り鳥″小池百合子東京都知事 最終目的地はやっぱり 「初の女性総理」

「もっと改革を進めろ、もっと生活を支えてくれという思いを頂戴しました」

7月7日投開票の東京都知事選で3選が確実となった直後、小池百合子氏(71)はカメラの前で余裕を見せた。

過去最多の56人が立候補する乱戦となったが、2位の前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)に、125万票あまりの差をつけての圧勝だった。

「6月20日の告示以降、街頭演説に立ったのはわずか12回。対抗馬と目されていた蓮舫氏(56)との討論を避け、彼女が都市部を中心に演説をして回ったのに対し、小池氏は選挙戦序盤は離島や郡部を回るという故・田中角栄元首相の得意とした選挙戦略を取った」(全国紙政治部デスク)

今年4月発売の月刊誌『文藝春秋』誌上で、かつての側近である小島敏郎氏とエジプト留学中のルームメイトから、「カイロ大学を首席で卒業」という経歴を改めて否定された。小島氏は刑事告発にまで踏み切っている。「学歴詐称疑惑」が再燃する中での選挙となったが、得票数に影響は見られなかった。

それでも、少々ナーバスになる一幕はあったという。小池氏が特別顧問を務める、都民ファーストの会の現役幹部が明かす。

「八丈島空港で記者から学歴について追及された際、小池さんは思わず『つばさの党の人?』と切り返していました。失言と言えば失言で、トラブルに発展するのではと肝を冷やしました。ただ、今回の勝利で『少々スキャンダルがあっても勝てる』という自信を深めたはずです」

学歴詐称問題の争点となっているカイロ大学へ小池氏が編入したのは’73年10月のこと。留学生活を振り返った自著では、卒業記念にピラミッドの頂上に登り、振り袖姿でお茶を点(た)てたというエピソードが写真付きで収録されていた。

’76年12月に帰国すると、アラビア語通訳として活動。’79年からはキャスター業に進出し、’88年には『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)のメインキャスターに就任する。″政界渡り鳥″のキャリアが始まったのは’92年のことだった。

「細川護熙元首相(86)が結党した日本新党に参加しました。同年の参院選に比例区で出馬して初当選するのですが、比例名簿順位は細川氏に次ぐ2位。これが結党準備から関わってきたメンバーの反発を招くというトラブルもありました」(前出・デスク)

その後、翌’93年には衆院に鞍替え。新進党、自由党、保守党を経て、’02年に自民党入り。

「細川氏、小沢一郎氏(82)、森喜朗氏(86)、さらに小泉純一郎氏(82)をはじめとした時の権力者の寵愛を受け、着実に地位を築き上げた。’07年には防衛大臣就任、’08年には総裁選出馬と、『女性初』の冠がつく実績を次々と残しました。ただ政党を渡り歩くだけではなく時流に乗る能力に長(た)けていたといえます」(自民党ベテラン秘書)

’16年に女性初の都知事に就任。以降も、小池氏は″上″を見続けた。衆院選が行われるたびに「国政復帰」についての噂が駆け巡るのはそのためだ。

◆「大勝負」の可能性

だが、国政復帰へのハードルは上がり続けている。’16年の都知事選を機に自民党から離党した後も、新進党、保守党で行動を共にした二階俊博元幹事長(85)とのパイプは残されていた。しかし、二階氏が任期限りでの引退を表明しているいま、新たな後ろ盾となりえる人材は、与野党を問わず見えてこない。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。

「自民党の東京都連会長である萩生田光一氏(60)と会談を重ねていたとも言われていますが、いま復党したところで総裁選の推薦人20名を集められるか疑問です。それよりは国家並みの予算と権限を持つ都知事を務めながら、首相クラスの実績を残すという選択肢をとるのではないか。彼女の政策は、国にできないことを東京が先んじてやった、という点が肝になっている。シェルターの建設に言及して、岸田文雄首相(66)に後を追わせたのが典型例です」

しかし、小池氏が渡り鳥人生最大の野心を「この段階で捨てるかは疑問だ」という声は永田町でも根強い。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。

「彼女の性格上、このまま余生を都知事として過ごすとは思えない。上川陽子外務相(71)や高市早苗内閣府特命担当大臣(63)が初の女性総理候補だと言われる状況であればなおさらです。故・石原慎太郎元都知事は、4期目の途中で突如として知事を辞職。国政復帰し、新党を結成した前例があります」

小池氏の権力欲の根底には何があるというのか。ノンフィクション作家の石井妙子氏が語る。

「権力を握り続けているからこそ、学歴詐称問題も封じることができる。しかし、ひとたび権力を失い、利用価値がなくなればどういう目に遭うか……。小池さん本人が一番よくわかっているでしょう。自分に近しい人たちを寝返らせないためにも、『権力を持ち続けねばならない』と考えているのだと思います」

3期目を迎える都知事が目指すのは、宣言通りの都政の総仕上げなのか、それとも最後の大勝負に出るのか――。

『FRIDAY』2024年7月26日・8月2日合併号より