父親が家事育児を行うと、子どものお尻をたたく母親が減る? 研究グループが調査 名古屋

AI要約

父親が家事・育児に関わることで、お尻をたたく母親が減る可能性があることが研究でわかった。

体罰は子どもに長期的な悪影響を与えるため、父親の関与が重要だとされる。

研究では父親の家事・育児の関与度が高いほど、母親が子どものお尻をたたく頻度が減少する傾向が示された。

父親が家事育児を行うと、子どものお尻をたたく母親が減る? 研究グループが調査 名古屋

子育てが母親に偏る「ワンオペ育児」「“孤”育て」などの言葉がありますが、父親が、家事・育児に関わることで、子どものお尻をよくたたく母親が減る可能性があるという結果が、名古屋大学大学院・予防医学分野などの研究グループの調べでわかりました。

 日本では、2020年4月の児童福祉法等の改正により、保護者による体罰が禁止されています。

 体罰とは、子どもの言動を抑えるために肉体的苦痛を与える行為で、お尻をたたくことも体罰に含まれます。

 お尻をたたくような行為は深刻な体罰ではなくても、子どもの脳や心身の発達に長期的な悪影響を与える事が分かっていて、予防が大切だと言われています。

 父親の家事育児への関与と、母親の子どもに対するお尻たたき行動の関連性について研究を行ったのは、名古屋大学大学院・医学系研究科予防医学分野の永吉真子講師や、

国立成育医療研究センター政策科学研究部の竹原健二部長らによる共同研究グループです。

 永吉講師によると、共同研究グループが用いたのは、21世紀出生児縦断調査(2010年5月10日~24日に日本で生まれた子ども38554人を対象にした調査)のデータです。

「生後6ヵ月時点で父親が家事・育児を行う頻度」と「3年後の3歳半時点で母親の子どもへの叱り方」に関する回答を分析しました。分析の対象は、日本の母親16373人です。

 検証の結果、父親の「家事」頻度が高いと、子どものお尻をよくたたく母親が少ない可能性があることがわかりました。

 父親の家事(食事の支度・部屋の掃除・洗濯・日常の買い物)の頻度について、「まったくしない(0点)」「ほとんどしない(1点)」「ときどきする(2点)」「いつもする(3点)」を聞き、その平均点によって4グループに分けたところ、「点数が最も低い」グループに比べ、その他3グループの方が、それぞれ、子どものお尻をよくたたく母親が14%~23%程度少ない可能性が示されました。

 また、父親の仕事時間が比較的短い場合(週50時間未満)、父親の「育児」頻度が高いほど、子どものお尻をよくたたく母親が少ないことも分かりました。

 こちらも、父親の育児(食事の世話・おむつ交換・入浴・寝かしつけ・家での遊び相手・外出)の頻度について、「まったくしない(0点)」「ほとんどしない(1点)」「ときどきする(2点)」「いつもする(3点)」 で聞き、その平均点によって4グループに分けたところ、「点数が最も低い」グループに比べ、平均点が高いグループほど、子どものお尻をよくたたく母親が少なく、高得点の2グループでは31%~36%程度少なくなっていたということです。