人口減少社会 東京も間もなく「衰退」予測 タワマンの厳しすぎる未来

AI要約

日本の人口減少社会において、大都市でも人口減少や人口密度の低下が進むことが予測されている。

国立社会保障・人口問題研究所による推計では、将来の人口減少が深刻であり、大都市も適応を迫られる状況にある。

経済集積理論に基づく予測では、都市の盛衰は大筋で予測可能であり、大都市でも人口減少と都心の人口密度の低下が起こる見込み。

人口減少社会 東京も間もなく「衰退」予測 タワマンの厳しすぎる未来

 過去50年で日本の人口は大都市に集中し、大都市内では逆に都心から郊外へ分散が進んだ。これから迎える人口減少社会では、東京でも人口減少や人口密度の低下が進む。

◇大都市も適応を迫られる

 日本は今、世界に先駆けて急速な人口減少に直面している。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、日本の人口が2020年時点の1億2600万人から、2120年には、将来推計人口の最も可能性が高いケースとする「中位推計」で5000万人、より悲観的な「低位推計」で3500万人まで減少すると予測する。

 中位推計で想定している合計特殊出生率は20年時点の1.36だが、23年時点で1.20まで低下しており、すでに低位推計の方が現実的かもしれない。この未曽有の人口減少の下、今後の都市がどのように変化し、それに伴って住まいのあり方はどう変わっていく必要があるのだろうか。

 有識者でつくる「人口戦略会議」が今年4月、人口減少に伴って消滅の危機に直面しているとされる「消滅可能性自治体リスト」を公表して大きな注目を集めたが、筆者の研究チームで行う経済集積理論とデータに基づく予測では、大都市でも大幅な人口減少および都心の人口密度の低下が起こる。東京や大阪などの大都市も、過疎地域とは異なる大きな変化に対し、適応を迫られるはずだ。

 経済現象の中には、未来が予測できるものとできないものがある。例えば、バブルの発生と崩壊は、地震の予測と似ていて、メカニズムを明らかにはできても、いつ起こるかまでは容易には予測できない。しかし人口集積として捉える都市の盛衰は、大筋で予測ができるまれな経済現象なのだ。

 我々の研究では、「都市」を人口密度が1平方キロメートル当たり1000人以上、かつ人口が1万人以上の地理的に連続した領域として定義する。ただし1000人や1万人という具体的な数字は特に重要ではなく、大事なのは都市を人口集積として捉えることだ。この定義での都市は20年時点で全国に431あり、国土のわずか6%を占める一方、人口の80%が居住する。