時価総額で世界一「エヌビディア」は半導体バブルなのか?“今が買い時なのか”を検証する

AI要約

エヌビディアの株価急騰によるバブル議論について検証。

過去の半導体業界の変遷を振り返り、エヌビディアの現状を考察。

産業のトップ企業は常に入れ替わる可能性を踏まえ、エヌビディアの将来性に疑問。

時価総額で世界一「エヌビディア」は半導体バブルなのか?“今が買い時なのか”を検証する

 AI向け半導体開発・販売の「エヌビディア」の株価が高騰している現在、多くの投資家が半導体の明るい未来を見据えて投資をしており、株価にも人気が反映されています。

 実際、エヌビディアの時価総額を見てみると、2023年6月時点で約1.05兆ドルでしたが、2024円6月には約3.33兆ドルまで到達し、1年で3倍以上も時価総額が大きくなり、一時的に世界一の時価総額企業になるほどの大きな飛躍を遂げています。

 こうした好調が続くエヌビディアの現在の状況は「バブル」と呼ぶべきなのでしょうか。本記事では、その現状と今後の見通しについて、検証していきたいと思います。

 そもそも半導体業界は常に変動の波にさらされており、下記のような過去の変遷を知ることで未来を予測する足掛かりとなるはずです。

【1980年代:日本の半導体メーカーの台頭】

 1980年代、日本の半導体メーカーが世界の半導体市場の約50%を占めていました。特にNEC、東芝、日立製作所などが業界をリードし、絶対的な地位を築いていたのです。この時期、日本はメモリ市場で特に強く、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)の生産で世界を席巻した、日本経済が最も強い時期がありました。

【1990年代:韓国と台湾の台頭】

 1990年代に入ると韓国や台湾の企業が急成長し、日本のシェアは次第に低下しました。サムスンやSKハイニックス(旧ハイニックス半導体)がDRAM市場で急速にシェアを拡大し、日本企業を追い越すようになったからです。また、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が受注生産を請け負うファウンドリ市場でリーダーシップを発揮し、グローバルな半導体供給チェーンにおいて重要な役割を果たすようになっていきます。

【2000年代:インテルの躍進】

 2000年代に入ると、インテルがCPU市場で圧倒的なシェアを占めるようになりました。インテルはPCおよびサーバー市場での高性能プロセッサの供給において他を圧倒し、その技術力とマーケティング戦略により市場をリードしました。

【2024年現在:エヌビディアが君臨】

 2024年現在では、エヌビディアがGPU市場で優位に立っています。主にAI(人工知能)やディープラーニング、データセンター向けの高性能GPUを提供し、その市場でのシェアを拡大して、一時的にマイクロソフトやアップルを抜いて世界一の時価総額企業になるほどの躍進を遂げています。

 こうした半導体の歴史を振り返るだけでも、常に業界のトップ企業は入れ替わり続けていることが分かります。つまり、エヌビディアも今後どこまでそのシェアをキープし続けるかは分からないことを意味していると筆者は考えます。