多重リース詐欺で資金集めか 大阪の飲食店運営会社 使途を捜査
大阪府内の居酒屋で経営者が複数のリース会社から8700万円をだまし取る詐欺事件が発覚。多重リースという手法を使い、資金を集めていたことが明らかになり、捜査が進められている。
逮捕された石原容疑者と藤本容疑者は共謀し、飲食店で使用する備品を複数のリース会社に売却。一つの備品に対して複数の契約を結び、8700万円を不正に得た疑いがかけられている。
GCという飲食店運営会社は全国に店舗展開していたが、経営難に陥り、多重リース事件によって資金調達を図っていたとされる。府警は犯行の動機や資金の使途について調査を進めている。
居酒屋で使う備品の代金計約8700万円を複数のリース会社からだまし取ったとして、大阪府警は9日、飲食店運営会社「GC」取締役の石原義明容疑者（41）＝大阪市北区＝ら男性2人を詐欺の疑いで逮捕した。この会社は「レモホル酒場」との名称で居酒屋を経営。「多重リース」と呼ばれる手口で資金を集めていたとみられ、府警は実態解明を進める。
他に逮捕されたのは、別の飲食店運営会社「FUJI住設」社長の藤本英明容疑者（60）＝東大阪市。府警は2人の認否を明らかにしていない。
リースは、物品などを持っているリース会社が利用者に貸し出し、使用料収入を得るサービス。所有権を巡ってトラブルが起きやすいため、一つの物品でリース契約できるのは1社のみとするのが通例という。
逮捕容疑は共謀して2020年9～12月、居酒屋で使う食器洗浄機や冷蔵庫などについて複数のリース会社に売却。一つの備品で複数社とリース契約を結んでいることを各社に隠し、売却代金の計約8700万円を詐取したとされる。
府警捜査2課によると、GCが複数のリース会社と契約。使用料の支払いが止まったことを不審に思ったリース会社が調べた結果、複数の契約が結ばれていることが判明したという。これは「多重リース」と呼ばれ、経営が悪化した企業が資金を調達するために悪用することも少なくないという。
民間信用調査会社によると、GCは全国で居酒屋を展開していたが、経営難に陥っていたとみられる。府警は詐取したとされる資金の使途を詳しく調べている。【岩本一希、川地隆史】
