高齢者の特殊詐欺被害防止へ、大阪府が条例改正検討 ATM前での携帯使用禁止など

AI要約

大阪府の吉村洋文知事は、特殊詐欺被害を防止するために高齢者を対象にATM前での携帯電話の使用禁止を検討している。

特殊詐欺被害が増加しており、被害総額は約36億6140万円に達している。

府は条例改正を進め、審議会を立ち上げて来年2月に府議会に提出する方針。罰則は設けない予定。

高齢者の特殊詐欺被害防止へ、大阪府が条例改正検討 ATM前での携帯使用禁止など

大阪府の吉村洋文知事は27日、多発する特殊詐欺被害を防止するため、高齢者を対象にATM前での携帯電話の使用禁止を条例に盛り込むことを検討していると明らかにした。改正されれば全国初となる。同日、大阪市内で記者団の取材に答えた。

大阪府警などによると、府内で昨年認知された特殊詐欺被害は過去最多の2656件で、被害総額は約36億6140万円。被害者の85%は65歳以上の高齢者で、犯人側が電話で指示しながら、ATMを操作させるケースが多い。

このため「府安全なまちづくり条例」を改正して、ATM前での携帯電話の使用禁止のほか、金融機関が不自然な出入金を見つけた際の通報義務、店側が客にプリペイドカードを販売する際の使用目的の確認義務などを盛り込む。罰則は設けない予定。

府は近く審議会を立ち上げ、専門家への意見聴取や関係業界との調整などを経て改正案を策定し、来年2月に府議会に提出する方針。

条例は平成31年にも改正され、金融機関が詐欺被害者とみられる人を見かけるなどした際には警察へ通報するよう努力義務を課したが、府内での特殊詐欺被害は同年以降も増加傾向にある。

吉村氏は「被害増加は看過できない。高齢者の老後の資金を守るためにも、踏み込んだ対策が必要だ」と強調した。