ATM前での高齢者の携帯電話使用、大阪府が条例で禁止へ…金融機関やコンビニに対応義務付け

AI要約

大阪府が特殊詐欺被害防止のため、高齢者による携帯電話の使用をATM前で禁止する方針を表明

昨年府内で2656件の特殊詐欺が発生し、被害額は36億6千万円、主な被害者は高齢者で還付金詐欺が多い

高齢者の通話しながらのATM操作一律禁止、罰則なし。課題は無人ATMや判断難易度。有識者による審議会を設置

 特殊詐欺の被害件数が急増している大阪府は27日、ATMの前で、高齢者による携帯電話の使用を禁止する方針を表明した。今年度内に条例に盛り込み、金融機関やコンビニエンスストアなどに対応を義務付けたい考え。実現すれば全国初となる。

 府内の特殊詐欺は昨年、過去最多の2656件あり、被害総額は約36億6000万円に上った。被害者は65歳以上の高齢者が85%を占めた。「医療費が戻る」などとウソを言い、携帯電話越しにATMを操作させて金を振り込ませる「還付金詐欺」の手口が目立つ。

 こうした被害を未然に防ぐため、府は高齢者の通話しながらのATM操作を一律的に禁止することにした。金融機関やコンビニエンスストアにも周知や声かけなどの対応を求める。罰則規定は設けない見通しだ。

 無人のATMでの対応や、高齢者かどうかの判断の難しさなど、課題も多い。府は有識者による審議会を設置し、関係業界の意見も聞いた上で結論を出すという。

 吉村洋文知事は27日、記者団の取材に「賛否があると思うが、老後の資金をだまし取る卑劣な犯罪は許せない。より踏み込んだ条例が必要だ」と強調した。