「危険運転では」 母奪った事故、ペダル間違え140キロまで加速

AI要約

母が立派に育ったカボチャの写真を喜ぶが、その4日後に交通事故で亡くなる。

加害者はアクセルとブレーキを間違え、高速で蛇行運転し、複数の車に衝突。被告は起訴され、懲役20年の可能性がある。

過失運転致死傷罪の適用基準に関する議論が起きており、罰金子が憤りを表明。

「危険運転では」 母奪った事故、ペダル間違え140キロまで加速

 母から立派に育ったカボチャの写真がLINEに届いた。自宅の家庭菜園で授粉に成功したという。

 「もうすぐ食べるのが楽しみ」

 待ちわびる母の様子が文と写真から手に取るように伝わってきた。

 その4日後、母は帰らぬ人となった。交通事故だった。

 アメリカ在住のダンラップ菜帆子さん(42)の母藤田明美さん(当時70)は2022年8月1日、札幌市西区の交差点で青信号を渡ろうとしたところ、同区の無職・里村香純被告(81)の運転する乗用車にはねられ、死亡した。

 起訴状などによると、里村被告は下り坂でブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだという。藤田さんは自転車ごとボンネットにはね上げられた後、路上に転落した。

 車は止まることなく、時速140キロ近くまで加速。被告は1.5キロにわたって蛇行運転や逆走を続け、複数の車両と衝突し、30代の運転手2人にけがを負わせた。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で起訴された。

 「危険運転では問えないのか」。菜帆子さんは憤る。2001年にできた危険運転致死傷罪は、特に悪質な運転による場合に、不注意による「過失犯」ではなく、「故意犯」として罰を科す。刑の上限も過失運転致死傷罪の懲役7年より重い、懲役20年だ。

 これまでにあおり運転や、飲酒運転の事件に適用されてきたが、処罰の対象とされる「制御困難な高速度」や「赤信号をことさらに無視」の定義があいまいだという声もあがっている。