チャールズ英国王が日本語で「英国にお帰りなさい」…天皇陛下と晩餐会で「カンパイ!」

AI要約

天皇陛下とチャールズ国王夫妻が主催した晩餐会で、日英の友好関係を確認し、過去の歴史に思いを馳せつつ未来への協力を誓った。

チャールズ国王が日本語で挨拶し、軽妙な雰囲気で笑いを誘いながら、友情やパートナーシップの重要性を強調した。

過去の訪英時に祖父や父のお言葉を紹介し、両国の明るい未来と研究者の挑戦に期待を寄せた。

 【ロンドン=水野祥、沖村豪】25日に開かれたチャールズ国王夫妻主催の晩餐(ばんさん)会。天皇陛下は400年以上にわたって紡がれた日英の友好関係を国王と確認し、未来に向けて杯を交わされた。敵対した歴史については、祖父と父の言葉をひき、思いを継承する意思を示された。

 バッキンガム宮殿のボールルームは、バラやイロハモミジの木で彩られ、正装に勲章を付けた王族らで華やかな雰囲気に包まれた。

 あいさつに立ったチャールズ国王は冒頭、英留学された天皇、皇后両陛下に対し「英国にお帰りなさい」と日本語で切り出した。日本のキャラクター「ハローキティ」やゲーム「ポケットモンスター」を話題に笑いを誘い、約10分間にわたるあいさつを「カンパイ!」と日本語で締めくくった。

 先の大戦で日本と交戦した歴史については、「暗い時代」と語ったが、江戸時代の徳川家康と先祖の交流を持ち出すなど、「友情」や「パートナーシップ」という言葉を使って、協力関係の大切さを強調した。

 過去の歴史について、天皇陛下は「友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありました」と語られた。その上で、「私の祖父や父が、天皇としてこの地を訪れた際の想(おも)いがいかばかりであったか」と感慨を述べられた。

 1998年に上皇さまが訪英された際は、まだ大戦の傷痕がくすぶっていた。上皇さまの「人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」というお言葉は、両国間のわだかまりを解くきっかけともなった。

 陛下はこの日、昭和、平成の天皇の訪英時のあいさつを紹介された。「祖父は両国の人々が、心を開いて話し合うことを切に希望し、父は理解し合う努力を続け、世界平和と繁栄のため、手を携えて貢献していくこと」を願われたと説明された。

 再生医療やがん研究、環境問題など、お言葉の多くは日英の研究者の挑戦や、長きにわたる友好親善の発展を願う内容だった。

 陛下のお言葉について、関東学院大の君塚直隆教授(イギリス政治外交史)は、「祖父や父の交流を継承しつつ、両国の明るい未来を望まれる陛下の思いが感じられた」と語った。

 両陛下は晩餐会に先立ち、ウェストミンスター寺院で、無名戦士の墓に供花された。