天皇陛下、日英の友好関係「更に高みに登る機会を得ている我々は幸運」…あいさつの日本語訳全文

AI要約

天皇陛下が英国訪問で述べた、友好関係強化と世界平和への願い。

天皇陛下の家族が歴代の晩餐会で語った日英交流の重要性。

天皇陛下が多様化する世界での相互理解と協力の必要性を訴える。

 天皇陛下が25日夜(日本時間26日午前)、チャールズ国王夫妻主催の晩餐(ばんさん)会で述べられた英語のあいさつの日本語訳は次の通り。

天皇陛下

 国王王妃両陛下 この度は、私と皇后を国賓としてお招きくださり、訪問の実現に向けて国王王妃両陛下を始め貴国の皆様から多大なる御配慮と御尽力を頂いたことに、心から御礼申し上げます。敬愛する故エリザベス2世女王陛下に御招待を頂いてから、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、こうして約5年の月日を経て国賓として英国の地を訪れることができましたことは、誠に喜びに堪えません。

 本日の午後には王室コレクションの我が国ゆかりの品を拝見し、改めて日本と英国の間で長きにわたり織りなされた交流の歴史を振り返ることができました。私自身、英国で学び、多くの人々と関わり合い、中でも王室の皆様には大変温かく接していただくなど、両国の交流の一端を担ってきたことを嬉(うれ)しく、また、有り難く思っています。日英両国には、友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありましたが、苦難のときを経た後に、私の祖父や父が女王陛下にお招きいただき天皇としてこの地を訪れた際の想(おも)いがいかばかりであったかと感慨深く思います。そして、計り知れぬ努力をもって、両国の未来の友好のために力を尽くしてこられた人々に、皇后と共に深い敬意と感謝の念を表します。

 私の祖父は、1971年の晩餐会で、日英両国の各界の人々がますます頻繁に親しく接触し、心を開いて話し合うことを切に希望し、また、私の父は、1998年に同じ晩餐会で、日英両国民が、真にお互いを理解し合う努力を続け、今後の世界の平和と繁栄のために、手を携えて貢献していくことを切に念願しておりました。

 現在、我々の社会は、ますます多様化・複雑化し、地球規模の各種課題に直面しており、世界全体で一層英知を結集しこれらの重要課題の解決に努める必要があります。そのような中、日英両国民の長年にわたる心を開いた話し合いと真の相互理解への努力が実を結び、両国が連携・協力して世界を牽引(けんいん)している分野が、これまでも、またこれからも数多(あまた)あるということを大変嬉しく思います。