沖縄「平和の礎」に刻まれた戦没者24万人の名前読み上げ…「お一人お一人に大切な家族、人生が」

AI要約

沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」を前に、平和祈念公園で戦没者ら24万人余りの名前を読み上げる活動が進行中。

参加者たちは名前を通じて戦没者を悼み、平和の尊さを発信している。

オンラインでつながる参加者たちがリレー方式で名前を読み上げ、戦争の影響を感じさせる記載もある。

 沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」を前に、平和祈念公園(沖縄県糸満市)の「平和の礎」に刻銘された戦没者ら24万人余りの名前を、国内外の有志が読み上げる活動が進んでいる。沖縄県内各地や東京などをオンラインで結び、23日まで続く。参加者たちは名前を通して戦没者に思いをはせながら、平和の尊さを発信している。(桜木剛志)

 「お一人お一人に大切な家族があり、人生があったことを考えると、胸が張り裂ける思いがします」

 活動初日となった今月1日、沖縄戦の激戦地となった沖縄本島南部、糸満市の特設会場。トップバッターを務めた玉城デニー知事はそう語り、自身のルーツがある伊江島出身者100人の名前と戦没時の年齢を丁寧に読み上げた。

 オンラインで結ばれた参加者たちはリレー方式で名前を読み上げ、その様子もネット上で配信される。参加者に提供される資料に記されているのは、名前、亡くなった年や場所など。名前の読み方や生没年が不明な人、「○○の長女」といった記載もあり、激しい戦闘の影響がうかがえる。

 この活動は、生きた証しである名前を呼ぶことで戦没者を悼み、平和の大切さを発信するのが目的。コロナ禍で「慰霊の日」の式典が縮小された2022年、県民らでつくる実行委員会が始め、3回目となる。

 祖父と伯父が「平和の礎」に刻銘され、糸満市の会場で参加した同県豊見城市の山城郁美さん(68)は、「読み上げた名前には幼い子どもも多く、一家全滅を思わせる戦没者もいて胸が痛んだ。ご遺族が聞いているかもしれないと思い、ゆっくり、しっかりと読んだ」と語った。

 この活動は平和教材としても注目され、昨年は日本をはじめ、米国、韓国、ウクライナなどの学校や団体などから延べ3882人が参加。今年も19日時点で延べ約3500人が約20万人分を読み上げた。

 13日には、東京都世田谷区の和光小の6年生約70人がオンラインで参加した。事前に練習した上で本番に臨み、計500人の名前を緊張しながら読んだ。