西成区に薬のヤミ露店、未明や早朝に出店…過去には生活保護を悪用し横流しの例も

AI要約

大阪市西成区で処方箋薬を無許可で販売しようとした男が逮捕された。同地区では問題の違法露店が増加しており、警察が取り締まりを強化している。

男は処方箋が必要な睡眠導入剤を路上で無許可販売し、20万円ほどの売り上げがあったと供述。過去に同様の犯罪者が逮捕されており、警察は薬の入手先を調査中。

無許可販売された薬が若者の間で過剰摂取を助長している可能性があり、特に未成年者を手なずけていた事件も発生している。

 大阪市西成区の「あいりん地区」の路上で、処方箋薬を無許可で販売しようとしたとして、大阪府警西成署は17日早朝、無職の男(54)を医薬品医療機器法違反(無許可販売)容疑で現行犯逮捕した。同地区では医薬品を無許可販売する「ヤミ露店」が問題となっており、同署が取り締まりを強化している。

 発表では、男は17日午前4時45分頃、大阪市西成区萩之茶屋の路上で露店を開き、医薬品販売業の許可を得ずに医師の処方箋が必要な睡眠導入剤20錠を陳列した疑い。容疑を認めているという。

 同署によると、あいりん地区では、処方箋薬などを路上販売する違法露店が以前から問題となっていた。近年は摘発逃れのため未明や早朝に出店するケースが目立ち、同署は17日未明から取り締まりを実施。路上に薬が入ったプラスチックケースを並べていた男を見つけた。

 同署は男が所持していた処方箋薬684錠を押収し、このうち250錠が睡眠導入剤を含む向精神薬だった。男は「今年の3月頃から露店で20回ぐらい販売し、20万円ぐらい売り上げた」と供述しているという。

 同署は2021年7月以降、あいりん地区で医薬品を無許可販売したとする同法違反容疑で計5人を逮捕。過去には、生活保護制度を悪用し、複数の医療機関から公費負担の医薬品を大量入手した受給者の男が、同地区のヤミ露店に薬を横流しした事件もあり、同署は薬の入手先を調べる。

 薬の無許可販売は、若者の薬の過剰摂取(オーバードーズ)を助長させている可能性がある。

 大阪・ミナミのグリコ看板下にある遊歩道「グリ下」には近年、学校や家庭に居場所がない若者が集まっている。グリ下では、睡眠導入剤を女子中学生らに譲り渡したとして麻薬取締法違反などで男が起訴される事件があり、今年5月に開かれた初公判で、検察側が「向精神薬を分け与えるなどして、グリ下に集まる未成年者らを手なずけていた」と指摘していた。

 捜査関係者によると、大阪市西成区で無許可販売された処方箋薬がグリ下に流れているとの情報もあり、大阪府警が調べている。