保護児奪い去り、「提案は弁護士。合法と信じた」父親に懲役2年求刑

AI要約

30代の読売新聞社員の父親と母親が未成年者略取などの罪で公判を受けた。検察は父親に懲役2年、母親に懲役1年6カ月の求刑。判決は7月18日に出る。

父親は虐待疑いで一時保護された長女を奪い返した理由を弁護。弁護側は執行猶予を求めたが、検察は行為の悪質性を強調し、正当化できないと主張。

両親は卒園式後にタクシーで長女を一時保護施設から連れ出したとされ、誤った判断を認めつつも反省の意思を示している。

保護児奪い去り、「提案は弁護士。合法と信じた」父親に懲役2年求刑

 児童相談所に一時保護された長女を奪い返したとして、未成年者略取などの罪に問われた読売新聞社員の30代の父親と、母親に対する公判が14日、神戸地裁(松田道別裁判官)であった。

 検察側は「悪質性が高く一時保護の実行性が阻害される」とし、父親に懲役2年、母親に懲役1年6カ月を求刑し結審した。弁護側は執行猶予を求めた。判決は7月18日。

 被告人質問で父親は、虐待の「疑い」の段階で一時保護され「(児相に)不信感を持った」とし、長女が帰ってきてほしいという気持ちを優先したと主張。奪い返す行為は弁護士から提案を受け、「合法だと信じ込んでしまった」とした。

 「最終的には自分の意思でやった」といい、「決して許されない行為をし、大変申しわけありません」と述べた。

 検察側は「弁護士から合法であるとアドバイスされた状況は認められるが、正当化できることではない」と指摘した。

 弁護側は、弁護士の誤った助言の影響や両親の反省の意思などから、執行猶予を求めた。

 検察側が初公判で読み上げた起訴状の内容などによると、両親は3月16日午前11時半ごろ、県西宮こども家庭センター(児童相談所)に虐待の疑いで一時保護されていた長女を、西宮市内の幼稚園で開かれた卒園式の終了後、タクシーに乗せて奪い去ったとされる。(原晟也)