かつて女性には参政権がなかった。「同じことが若者にも起きている」立候補年齢引き下げをめぐるイベントが開催

AI要約

若者の政治参加を促進するために、立候補年齢引き下げを求める運動が始動した。

現在の制度は若者を不当に差別しており、過去の女性参政権運動と共通点がある。

立候補年齢引き下げの必要性を訴える若者や弁護士の主張には、合理的な根拠が欠如しているという観点も含まれる。

かつて女性には参政権がなかった。「同じことが若者にも起きている」立候補年齢引き下げをめぐるイベントが開催

「かつて女性は『知力、体力において男子に劣る』として参政権が認められなかった。これと同じことが若者にも起きています」

立候補年齢を25歳・30歳以上から18歳へ引き下げることへの賛同・応援コメントを集める「#未来を生きるわたしが決める」 キャンペーンが6月13日に始動した。同日、キックオフとなるイベントが都内で開催された。

キャンペーンは、立候補年齢引き下げを求め、公共訴訟やロビイングを行う「立候補年齢引き下げプロジェクト」の一環。同キャンペーンを主催する、若者の政治参加促進を目指す一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」がイベントを行った。

立候補年齢引き下げを求める若者や弁護団が語ったことから見えてきた、若者の現状とは。

公職選挙法が被選挙権に年齢制限を設けているのは違憲として、18歳から25歳までの原告6人が国を相手どり行っている公共訴訟について、弁護団の一人、戸田善恭弁護士が解説した。

日本では、選挙で投票できるようになる年齢(選挙権年齢)は18歳。一方、選挙で立候補できる年齢(被選挙権年齢)は衆議院などで25歳以上、参議院などで30歳以上で、OECD加盟国の中でも高い年齢だ。

過去に最高裁は「被選挙権に対する制約は原則許されない」、「立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係」などの判断を出している一方、国は立候補年齢について「相応の思慮分別・社会経験が必要」などと説明している。

戸田弁護士は国の説明について、「25歳・30歳以下には思慮分別や社会経験がなく、それ以上になっていきなり出てくるのでしょうか。合理的な根拠がないことは明らかだと考えています」と主張した。

「現在の年齢設定は憲法ができた明治時代に、特に深い理由もなく決められたものです。現在18歳は選挙権もあり、裁判官にも経営者にもなれる年齢です。また、若者は低能力との前提は近時の研究結果に反するものです」

また、平等原則違反の観点から、若者という集団自体が社会的に差別の対象になりやすい人たちであり、その区別的取り扱いに合理性があるのかについても厳しく見ていかなければならない、と裁判で主張しているという。

また、戸田弁護士は東京大学の齋藤宙治教授の研究を紹介。「子どもに対して重い刑事責任を科してほしい」という声が高い一方で、「政治参加についてはそこまで大きな権利を与えなくてもいい」といったような矛盾した感覚など、若者に対する差別的な法意識や否定的なステレオタイプが存在する、と説明した。

「かつて女性は『婦人は知力、体力において男子に劣る』、『婦女は想像の才や進取の気性に乏しい』、『婦女は独立の性や確実な考え方に乏しい』といった理由で参政権が認められていませんでした。今考えれば合理的な理由は何一つありません。これと全く同じことが若者にも起きています」