ロスジェネ世代は今 「若者のせいにした」過ちとそのツケ

AI要約

東京学芸大学教授の浅野智彦氏は、現在の「ロスジェネ世代」の危機について語った。2000年代初頭の対策の失敗や若者への責任転嫁など、日本の労働市場構造の問題を指摘した。

若者中心の政策ではなく、日本のシステム全体の問題として考えるべきだったと述べた浅野氏。構造的な変化を見過ごしてきたことのリスクを示唆。

椅子取りゲームの比喩を使いながら、若者問題へのアプローチの誤りを論じた浅野氏。日本の労働市場における課題の重要性を訴えた。

ロスジェネ世代は今 「若者のせいにした」過ちとそのツケ

 東京学芸大学教授の浅野智彦氏は毎日新聞政治プレミアの取材に応じた。「ロスジェネ世代」について、現在、「大きな危機の先端にいる」と語った。

 浅野氏は、「浅野氏 2000年代初頭に(ロスジェネ対策として)さまざまな政策がとられましたが、多くは若者対策でした。若者を労働市場に入れるためにスキルなどをつけさせる発想でした。労働市場の構造はそのままにして、若者をなんとかしようとしたのです。根本的に間違った政策でした」と言う。

 「椅子取りゲームで椅子が減っていく、それも急激に減っていく時に、椅子に座れなかった人に「もう少しやる気を出せば必ず座れるようになる、もっと速く走れ」と言いました。しかし座れない人は絶対に出ます。若者のせいにしたことで、日本の労働市場の構造的な問題を見なくてすむことになりました」と指摘する。

 「本当は、日本のシステム全体がうまくいかなくなったことの最初の兆候とみるべきだったのです」と語った。