多様化する事件、専門性持つ成り手を増やせ 大津・保護司殺害

AI要約

新庄博志さんの遺体が見つかった事件で、保護司を務めていた飯塚紘平容疑者が逮捕された。保護観察中で再犯防止が期待される中、事件が発生したことに驚きを隠せない。

保護司としてのリスクや対象者とのコミュニケーション、専門的知識の必要性が改めて認識される中、保護司の育成や適切な選出が重要視される。

変化する状況に対応するため、福祉や医療の知識がある人や地域に精通した公務員などから保護司を増やす取り組みが必要だ。

多様化する事件、専門性持つ成り手を増やせ 大津・保護司殺害

 大津市の民家で5月、レストラン経営で保護司の新庄博志さん(60)の遺体が見つかった事件で、滋賀県警は8日、近くに住む無職の飯塚紘平容疑者(35)を殺人の疑いで逮捕した。過去の強盗事件で保護観察付き執行猶予判決を受け、保護観察中で新庄さんが担当保護司だった。県警は動機などを詳しく調べる。

 ◇岡辺健・京大院教授(犯罪社会学)の話

 保護観察の対象者は保護観察期間中に再び犯罪を起こした場合、ペナルティーが科されることになる。保護観察が付いていること自体に再犯防止の効果があると言えるが、事件は想定を超えており驚きだ。

 保護司には守秘義務があり、対象者との面談内容を他の保護司に話す機会は限られている。対象者とコミュニケーションが十分に取れないような難しいケースもある中、新庄さんも1人で悩みを抱え込んでしまっていなかったか、トラブルの有無を調べる必要があるだろう。

 今回の事件で保護司の仕事に潜むリスクが可視化され、保護司を目指す人の心理的ハードルが上がってしまうのは好ましくない。それと同時に、犯罪や非行内容が多様化する中で、保護司にも専門的な知識が求められるケースが増えているのが現実だ。

 変化する状況に対応するため、福祉や医療の知識がある人や地域に精通した公務員などの中から保護司の成り手を増やしていくことも考えるべきだろう。