「15%引きまでで粘るように」と言っているのに…すぐに値引きしてしまう「お荷物な」部下が抱える意外な問題とは

AI要約

部下のズレた返答に困る管理職の悩み。指示通りに動かない部下への対応策を模索

コミュニケーション力を重視する企業が増加し、理屈が通じない部下の問題に直面する管理職

特定の指示に従わない部下の例を挙げて議論。コミュニケーション力の多面性と課題について考察

「15%引きまでで粘るように」と言っているのに…すぐに値引きしてしまう「お荷物な」部下が抱える意外な問題とは

〈言い方を注意したら「定型文がないと困る」と言われ…相手の気持ちに配慮できない部下の“ズレた返答”〉 から続く

「2週間前までに記入して」と言ったら、きっかり2週間前にならないと記入しない。「最大限20%までは引けるけど、15%までで粘って」と言っても、いつも15%よりも値引きしてしまう……。

 このように、なかなか「指示通り」に動いてくれない部下に出くわし、困ってしまう管理職は多くいるようだ。仕事現場での混乱を防ぐためには、彼らとどのように接していけばいいのだろうか。

 ここでは、そんな悩める管理職たちの相談に心理学博士・榎本博明が答えた『 「指示通り」ができない人たち 』(日経BP)より、「理屈が通じない」とある部下たちの事例を抜粋して紹介する。(全4回の3回目/ 最初から読む )

◆◆◆

 コミュニケーション力が乏しい若者が増えていることから、新人採用時にコミュニケーション力を重視する企業が増えている。その結果、コミュニケーション力のある若者の争奪戦の様相を呈している。だが、ひと口にコミュニケーション力といっても、それが何を意味するのかがあいまいで、面接等でコミュニケーション力の高低を見分けるのは意外に難しい。

 コミュニケーション力のある人材を採用したはずなのに、理屈が通じないので困ると嘆く管理職も珍しくない。

「うちのような接客業務のある職場では、コミュニケーション力がないと困るので、コミュニケーション力重視で採用したはずなんです。たしかに人当たりがいいし、だれとでも打ち解けて話せるし、すぐに仲良くなるから、当初は良い人が来たと安心してたんです。でも、研修が済んで、いざ仕事の現場に出したら、どうもお荷物な存在になってるみたいで、現場から文句が来るようになって……今、結構手を焼いてるんです」

『たしかにコミュニケーション力っていうのは多面的だから、コミュニケーション力の高い人かどうかを見分けるのは、結構難しいですよね。だれとでも打ち解けて話せるという社交性だけではないですからね』

「そうなんですよね。どうも彼女の場合は、理屈が通じないっていう感じのコミュニケーションの問題があるみたいなんです」

『具体的には、現場ではどのような問題が起きているんでしょうか?』

「そうですね、いろいろあるんですけど……たとえば、勤務予定表っていうのがあって、それぞれが勤務日のシフトを記入するんです。いつもは勤務する曜日でも都合が悪い日があると、代わりの人を決めないといけないので、2週間前までにそこに記入することになってるんです。でも、早くからわかってる場合は2週間以上前でもわかった時点で記入するようにしてるんです。これまではその方式で揉めることなんかなかったんですけど、彼女はそれで揉めてるようなんです」

『早めにわかっていたら2週間より前でも都合が悪い日を記入する、っていうことですよね?』

「はい、そうです」

『それで、どう揉めるんですか?』