燃料高騰リスクに警鐘 円安で国富流出 エネルギー白書

AI要約

政府は2023年度版のエネルギー白書を決定し、化石燃料の輸入金額急増やエネルギー安全保障への懸念、再生可能エネルギーへの転換などが示唆された。

国際情勢の不確実性や燃料価格高騰から、エネルギー自給率向上の必要性が強調され、原発活用や再生可能エネルギーの導入が求められている。

エネルギー安全保障の脅威や化石燃料への依存問題に対処するため、政府はエネルギー政策の転換を進める姿勢を示した。

 政府は4日の閣議で、2023年度版のエネルギー白書を決定した。

 液化天然ガス(LNG)などの価格高騰や、円安進行に伴って燃料の輸入金額が増加し、「国富」の海外流出が拡大していると指摘。「国際情勢によっては、より一層の価格高騰に陥ってしまうリスクや、エネルギーの安定供給に大きな支障が出るリスクも十分に考えられる」と警鐘を鳴らした。

 20年に11.3兆円だった化石燃料の輸入金額は、22年には33.7兆円と約3倍に急増。23年も27.3兆円と高止まりした。輸入量に大きな変動はなく、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰や円の下落基調が直撃した形となっている。

 また白書は、世界各地で相次ぐ紛争や災害により、エネルギー安全保障が脅かされていることへの懸念を表明。化石燃料への過度な依存から脱却する必要性を強調した。その上で、再生可能エネルギーの導入拡大や最大限の原発活用などにより、「エネルギー自給率向上に向けた取り組みを、一歩一歩、進めていくことが求められている」との認識を示した。