農業用ロボット〝現役〟30年 水稲の苗箱並べる

AI要約

栃木県鹿沼市のハウスで、水稲シーズンに稼働する「アグロボ」は、苗箱を自動で並べる農業用ロボットです。国内で2台しか稼働しておらず、30年以上前に登場した最先端技術のロボットです。

「農業生産法人かぬま」では「アグロボ」を活用し、約7万4000枚の苗箱を育苗しています。腕部分に苗箱を載せて並べる作業やマルチフィルムの敷設を自動で行い、大規模な稲作を支えています。

アグロボは古いためトラブルが多いものの、代替機がないために現役続行しています。専用の鉄製コンテナへの苗箱の積み替えに対応できるよう、樹脂製コンテナへの移行も検討されています。

農業用ロボット〝現役〟30年 水稲の苗箱並べる

 水稲シーズンに、栃木県鹿沼市のハウスで、苗箱を自動で並べる「アグロボ」がフル稼働する。30年近く前に発売された、当時最先端の農業用ロボットで、左右の腕部分に計20枚の苗箱を載せ、並べていく。製造メーカーによると、現在も稼働しているのは国内で2台だけ。稲作の大規模化を支えてきた貴重な存在だ。

 水稲約300ヘクタールを作付けする同市の「農業生産法人かぬま」は、自社分と他の農家に販売する分を合わせて、苗箱で約7万4000枚を育苗する。そこで重宝しているのが「アグロボ(TST―1000)」だ。本体から左右に伸びる腕部分に10枚ずつ苗箱を載せると、腕を傾けて地面に降ろしていく。マルチフィルムの敷設も自動だ。

 同法人の青山賀一さんは「なくてはならない機械。古いためにトラブルは多いが、代わりがない」と話す。汎用(はんよう)部品などを自前で交換しながら維持している。

 同法人では、本体の操作や監視に1人、フォークリフトでの苗箱運搬に1人の計2人で、1日最大3200枚を並べる。以前、アグロボが故障した際には、小型で半自動の整列機を使って6人がかりで作業した。

 製造したスズテック(宇都宮市)によると、今も動いているのは同法人と、JA鳥取中央の育苗センターだけ。アグロボには苗箱を積む専用の鉄製コンテナが必要だが、より軽く扱いやすい樹脂製コンテナに移行し、アグロボも使われなくなっていったという。