栃木・那須塩原の農場で豚熱確認 1万6000頭殺処分 今年6例目

AI要約

栃木県で那須塩原市の農場で豚熱感染が確認され、1万6000頭の豚が殺処分されることになった。

感染経路は特定されておらず、国と県が疫学調査を行っている。

豚熱は豚やイノシシにのみ感染し、人には感染しないが、豚熱感染の対策が強化されることが求められている。

栃木・那須塩原の農場で豚熱確認 1万6000頭殺処分 今年6例目

 栃木県は26日、那須塩原市の農場で飼育する豚が豚熱に感染していることを確認したと発表した。場内の約1万6000頭の殺処分を始めた。飼育を委託している2カ所の農場の豚についても28日間、農場外への豚の移動を制限し経過観察する。半径10キロ圏内の農場に異常はないという。県内での豚熱の確認は今年2月の栃木市に続き6例目で、同農場は2021年4月以来、2回目。

 県によると、同農場では今月8日ごろから死亡する豚が増えたといい、民間機関による検査の結果、豚熱の疑いが出たため24日、県に通報した。県の立ち入り検査をへて国の遺伝子解析でも26日に陽性が確認された。

 感染経路は特定されておらず、27日、国が現地で疫学調査を行っている。県は国の調査と並行して、経緯など事実関係を確認するとしている。

 21年に同農場で豚熱が確認された際、約2万2000頭の殺処分を実施。豚舎ごとの作業着や手袋の交換など法律に基づく飼養衛生管理基準の順守が不徹底だった。同年10月に農場は再開。それ以降は年2回の県の立ち入り検査で、問題は指摘されていない。昨年12月の検査でも問題はなかったという。

 豚熱は豚とイノシシにのみ感染し、人には感染しない。感染した豚の肉が市場に出回ることもない。

 26日夜、県の対策本部会議後に記者会見した福田富一知事は「大変残念。現場では対応してきてくれたと認識しているが、それでもだめなんですよと業者の方に伝達しながら、もう一度(対策を)強化して7例目を出さないことに力を注ぎたい」と述べた。処分費用の約15億円の予算について26日、知事の専決処分が行われた。【有田浩子】

 ◇豚熱(CSF)

 豚やイノシシが感染する、感染力が強く致死率が高い家畜伝染病(「豚コレラ」から呼称変更された)。CSFはClassical swine feverの頭文字。人には感染せず、感染した豚の肉や内臓を食べても影響はない。アフリカ豚熱(ASF=African swine fever)とは別の病気。