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夫を亡くした後も、義理の母を「5年間」介護していました。その義母も亡くなったのですが、私に「相続の権利」は何もないのでしょうか? 介護はずっと私1人で大変だったのですが…
遺産相続における不公平さを解消するための特別の寄与制度が存在する。
特別寄与者が療養看護などの労務提供をした場合に特別寄与料を請求できる。
要件を満たす親族に限り請求でき、労務提供と亡くなった人の財産の維持・増加との因果関係が必要。そうでなければ該当しない。
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義理の母の財産について、夫に先立たれている場合は法律上、相続をする権利は義理の母から見た孫、つまり夫婦の子どもにあり、妻には請求権がありません。
遺言書で妻にも相続をさせる旨が書いてあれば別ですが、遺言書がない場合、介護をしていたにもかかわらず妻に何の財産も相続できません。不公平に感じるのも当然といえるでしょう。
実はこのようなケースでも活用できる「特別の寄与」という制度があります。詳しく見ていきましょう。
亡くなった人の親族で相続人ではない人の内、亡くなった人の財産の維持または増加に特別の寄与をした人(特別寄与者)は、相続人に対して寄与に応じた金銭(特別寄与料)の請求ができます。
例えば、亡くなった人の療養看護を無償で行っていた場合に請求できます。療養看護を無償で提供したことによって、ヘルパーを依頼せずに済み、その分の料金がかからずに済んだことになるからです。
■請求できる人
請求できるのは、(1)親族であること、(2)相続人でないこと、(3)相続放棄などによって相続権を失った人でないこと、の要件を満たす人です。親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。
義母は3親等内の姻族になるため、特別寄与料の請求ができます。
■請求できる要件
請求できる要件は、(1)請求権者が被相続人に対して療養看護などの労務提供をしたこと、(2)無償で労務提供をしたこと、の2つです。
この内、(1)に関して療養看護などの労務提供と亡くなった人の財産の維持・増加との間に因果関係があることが必要になります。
例えば、亡くなった人を看護したためでヘルパーを依頼した場合の支出がなかった、というような関係が必要であり、単に精神的な支えとなっていただけの場合は該当しません。
特別の寄与には療養看護だけでなく、亡くなった人の事業を手伝った場合も該当します。
また、(2)の無償に関して、もし利益を得ていたとしても労務に対して著しく少ないときは「無償」になると考えられています。