法人としての「レナウン」が消滅へ

AI要約

レナウンは、老舗アパレル企業でCMソングなどの広告戦略で業界大手に成長し、2020年11月に破産開始決定を受けた。

破産手続きが終わり、最後の配当が実施されると、今年内に消滅する予定で、債権回収が実現すれば追加配当も行われる。

1902年に創業され、レナウンの消滅はアパレル業界にとって一つの時代の終わりを象徴するが、その足跡は今後も語り継がれるだろう。

法人としての「レナウン」が消滅へ

 2020年11月27日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)レナウン(TSR企業コード:295833440、江東区)が消滅する。今年8月に最後配当を実施し、年内に破産手続きが終結するため。7月10日には第5回債権者集会を開催していた。法人としての名門レナウンが名実ともに消滅する。

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 レナウンは、有力ブランドを育てた老舗アパレルで、CMソングなど広告戦略が奏功して業界大手に成長した。しかし、競合から業績が悪化し、2010年に中国の繊維大手・山東如意科技集団有限公司の傘下に入った。

 しかし、業績回復の遅れや山東如意グループへの売掛金の回収難に加え、コロナ禍の影響を受け2020年5月、子会社から民事再生法の適用を申し立てられた。負債は138億7,900万円だった。

 民事再生による再建を目指し、主力ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」の譲渡などを進めたが、再生計画を作成できず破産手続きに移行していた。

 破産管財人の永沢徹弁護士(永沢総合法律事務所)の手で資産換価が進められた。7月10日までの破産債権の配当は第1回が35億9,801万円、第2回が10億3,327万円、今年8月中旬に予定される第3回が3,773万円で、配当は累計46億6,902万円。一方、確定普通破産債権(別除権付債権を除く)は73億6,564万円となっている。

 最後配当を含めた破産債権の配当率は63.3%にのぼる。

 第5回債権者集会の破産管財人報告要旨によると、山東如意科技集団有限公司に対する約53億2,400万円の連帯債務履行請求権等の回収は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業に委任し、中国現地代理人を通じて2023年12月11日、現地の裁判所へ山東如意の破産手続開始を申請した。だが、申請は受理されておらず、破産手続きが開始されるか不透明という。

 レナウンは、8月中旬に最後配当を実施する。その後、遅くとも年内には破産手続きが終結する予定だ。

 終結後、債権回収が実現し、配当できる破産財団が形成された場合は裁判所の許可を得て、追加配当を行う。

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 1902年に創業され、アパレル業界を凌駕したレナウンの消滅は、ひとつの時代の終わりを象徴する。だが、残した足跡は今後も語り継がれていくだろう。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年7月12日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)