親の介護が必要になりました。会社を辞めるかどうか悩んでいます。働きながら介護はできますか?

AI要約

宮内(仮名)さんは55歳男性。独身で中小企業の管理職として働いています。父親が脳梗塞で倒れ入院し、介護が必要になりました。

介護保険の申請から利用までの流れや負担額、制度について詳細な説明があります。

介護保険を利用しながら、仕事と介護を両立できる方法について、宮内さんが取る行動が述べられています。

親の介護が必要になりました。会社を辞めるかどうか悩んでいます。働きながら介護はできますか?

宮内(仮名)さんは55歳男性。独身です。中小企業の管理職として働いています。仕事もプライベートも充実した生活を送っていますが、父親(80歳)が脳梗塞で倒れ入院することに。片まひが残り介護が必要になりました。

宮内さんは、会社を辞めるかどうか悩みFPに相談することにしました。FPは仕事と介護を両立させる支援制度についてアドバイスしました。

総務省が行った「令和4年就業構造基本調査」によると、直近1年間で介護等を理由とした離職者が約11万人(そのうち女性は約8万人)と5年前に比べ1万人増加しています。

介護をしている人は約629万人で、そのうち有業者は約365万人、有業者の割合は58.0%となっています。多くの方が働きながら介護をしています。

年齢階級別に40歳以上についてみると、男性は「50~54歳」が88.5%で最も高く、女性も「50~54歳」が71.8%と最も高くなっています。

厚生労働省「2022年国民生活基礎調査の概況」をみると、介護の担い手に関し、同居の主な介護者の性別構成割合は男性が31.1%、女性が68.9%となっています。年齢階級別では男性の24.9%、女性の23.6%が60歳未満となっています。

まず、宮内さんに介護保険の申請(入院中も可)を勧めました。在宅介護をするにしても施設介護にしても介護保険の利用が基本になります。

介護保険は医療保険と違い、保険証を持っているだけでは介護サービスを利用できません。また、介護保険を利用できるのは原則65歳以上の方です。40歳~64歳の医療保険加入者の方は16種類の特定疾病で要介護になったときのみ利用できます。

介護保険を利用するためには、本人または家族が本人の住む市区町村の窓口で申請します。地域包括支援センターなどで代行申請をお願いすることも可能です。

申請すると市区町村の職員などが自宅を訪問し認定調査をします。入院中であれば病院に来てくれますので、医師に申請してよいか確認しましょう。

日頃の状態についての聞き取り調査と主治医の意見書をもとに、コンピューターによる一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われ、要支援1・2、要介護1~5、非該当の認定結果が通知されます。申請から結果が出るまで30日程度です。

要介護1~5と認定された方は、在宅で介護サービスを利用する場合、居宅介護支援事業者と契約し、その事業者のケアマネジャーと相談して、介護サービス計画 (ケアプラン) を作成してもらい利用を開始します。施設へ入所を希望する場合は、希望する施設に直接申し込みます。要支援1・2と認定された方は、地域包括支援センターで介護予防サービス計画 (介護予防ケアプラン) を作成してもらいます。

介護サービスは、要介護度に応じて1ヶ月の支給限度額が決まっていますので、その範囲内でサービスを利用します。利用者が負担する費用は所得により利用額の1~3割です。支給限度額を超えた部分は全額自己負担になります。

なお、1ヶ月に支払った利用者負担の合計額が所得に応じた負担の上限を超えたときは、超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」制度があります。また、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が高額な場合に、自己負担を軽減する高額介護合算療養費制度もあります。

宮内さんは、父親の入院中に介護申請をして要介護2の認定を受けました。入院中に父親が住む市区町村から介護保険のパンフレットを入手し、在宅介護のサービスにはどのようなサービスがあるのか料金の目安はどのくらいか、仕事と介護の両立に向けて情報収集をしました。

訪問介護やデイサービス、介護者の休憩に使えるショートステイは利用したいと思います。つえなどのレンタルもあるので助かります。訪問・通所・宿泊が柔軟に利用できる小規模多機能居宅介護サービス(地域密着型サービス)は、仕事と介護の両立に有効に活用できそうです。