新NISAもiDeCoもやっていますが、同じ額を入れるよりも、どちらかの金額を多くしたほうがお得ですか?

AI要約

新NISAとiDeCoの両方を活用する際に悩まれる方も多いが、両者の特徴や税制などを考慮すると、iDeCoの方が得であると言える場面もある。

ただし、iDeCoは受取時に所得税が課税される可能性があるため、それぞれの節税分と課税分のバランスを考慮する必要がある。

投資のタイミングや方法により、iDeCoとNISAの利用にはそれぞれメリットやデメリットがあるため、自身の状況に合わせて適切な選択が求められる。

新NISAもiDeCoもやっていますが、同じ額を入れるよりも、どちらかの金額を多くしたほうがお得ですか?

新NISA(以下、「NISA」といいます)とiDeCoの両方をやっている人は、「どちらも同じ額を入れるべきか」「どちらかの金額を多くするべきか」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

この点については、現在NISAとiDeCoの両方をやっている方だけでなく、これからNISAやiDeCoを始めようとしている方も気になるところです。どうしたらよいかについて、本記事で解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

図表1は、NISAとiDeCoの特徴を簡単にまとめたものです。

図表1

ここで注目したいのは、以下の点です。

・年間の投資(拠出額)に限度があり、iDeCoのほうが大幅に少ないこと

・NISAには総枠の限度額があること

・投資方法が異なること

・iDeCoは掛金が全額所得控除になること

・お金を受け取るとき、NISAは預金と同じ扱いで課税されないが、iDeCoは所得扱い(年金方式=雑所得、一時金方式=退職所得)で優遇税制ではあるものの課税される可能性があること

・iDeCoを受け取るとき、年金方式なら「公的年金等控除」を、一時金方式なら「退職所得控除」を受けられること

以上のことから、NISAとiDeCoで運用成績に差がないことを前提とすると、iDeCoは掛金が全額所得控除になる分、掛金を拠出している期間は手取りが増える(所得税が減る)ため、NISAに比べて得であるといえそうです。

しかし、iDeCoは受取時に所得税が課税される可能性があります。年金方式で受け取る場合は雑所得となり、一時金方式で受け取る場合は退職所得になります。

それぞれ公的年金等控除、退職所得控除を受けられますが、所得税を納付することになれば、結局は課税の繰り延べをしたにすぎないともいえます。拠出時の節税分と受取時の課税分を比較して、前者のほうが多ければ、節税できた分、iDeCoのほうが得だといえます。

また、iDeCoの場合、投資方法が「積み立て」となり、一括投資ができるNISA(成長投資枠)と比較して不利になる可能性があります。例えば、以下のケースを比較してみます。前提として、どちらも年2%で複利運用するものとします。

〈ケース1〉毎年24万円ずつ積み立てながら、10年間運用した場合

〈ケース2〉1年目に240万円投資し、10年間運用した場合

〈ケース1〉の10年後の金額は、以下のとおりです。

24万円 × 10.95(年金終価係数)= 262万8000円

一方、〈ケース2〉の10年後の金額は、以下のとおりです。

240万円 × 1.219(終価係数)= 292万5600円

投資額(掛金)の合計は、どちらも240万円です。しかし、投資のタイミングの違いにより、得られる「複利の効果」にも差が生じます。この点からいえば、NISA(成長投資枠)のほうが得だといえます。