「劇的変化」を生むサスとホイール ACシュニッツァー ACS2スポーツへ試乗 見た目以上の楽しさ

AI要約

ACシュニッツァー社のチューニングされたBMW M2について詳細に紹介

車両の外観や性能アップの詳細、価格、走行性能について述べられている

チューニングの効果や舵の応答についての感想が述べられている

「劇的変化」を生むサスとホイール ACシュニッツァー ACS2スポーツへ試乗 見た目以上の楽しさ

何ごとも、見た目だけで判断するのは正しくない。ドイツ・アーヘンに拠点を置く老舗チューナー、ACシュニッツァー社の作品へ触れるたび、毎回そう思わせる。

最近の英国のクルマ好きは、社外品のフロントスカートやリアウイングで、クルマを着飾ることから距離をおいている。既にオリジナルのスタイリングが、充分アグレッシブだからだろう。

ACシュニッツァー社の全部載せなデモ車両は、そんな中で少し浮いて見えることは間違いない。フロントのカナードやリアのディフューザーは、かなり過激。中身より見た目を重視したチューニングだと、受け止める人もいらっしゃるはず。

今回試乗したクーペは、G87型BMW M2のフルチューニング仕様、ACS2スポーツ。フェイスリフト前のモデルがベースになっている。ここまでの徹底調理を施すと、かなりの金額が必要になる。

ステアリングホイールのリムが太くなり、iドライブ・コントローラーへACシュニッツァーのロゴが配されるだけではない。カーボンファイバー製トリムが車内を飾り、サスペンションのダンパーは、2ウェイ調整が可能な独自仕様のKW社製だ。

このダンパーと、最大35mm車高が落ちるスプリングのセットは、RSサスペンションと呼ばれる。アルミホイールは、通常より1インチ大きい鍛造品。ノーマル・ホイールより、25%ほど軽いそうだ。

S58型エンジンを司るECUも、アップデートを受けている。最高出力は460psから560psへ、100psも引き上げられた。最大トルクは66.1kg-mへ達する。ベース車両を含めると、フルメニューの金額は10万ポンド(約1920万円)を超えるとか。

そもそも、3.0L直列6気筒ツインターボを載せたG87型BMW M2 クーペは、めっぽう速い。明確な違いを体感できるのは、アウトバーンの合流車線や追い越し車線程度だろう。グレートブリテン島では、高速道路でも難しい。

ボディには、大きなリアウイングやサイドスカートなど、カーボンファイバー製キットが沢山。とはいえ、ここまで気張る人は少ないらしい。フロントのカナードとステッカー類も、資金力に限りがある筆者なら、選ばなくても後悔はしない。

制限速度の高くない島国で乗るなら、ECUチューニングは見送っても良さそうだ。通常のM2の印象へ確かな影響を及ぼすのは、RSサスペンションと鍛造アルミホイールのペアといえるだろう。

実際、この足まわりが劇的な変化をもたらしている。ACS2スポーツの車重は1725kgと、通常のM2と殆ど変わりないそうだが、まるで1400kg前後へダイエットしたかのような敏捷性を獲得している。

垂直方向の姿勢制御とステアリング・レスポンスは、ポルシェ718 ケイマン Sへ匹敵するといっていいほど。どんな状況下でも、ステアリングホイールの入力に対する僅かな遅れが、払拭されている。