日銀、政策金利は維持の公算 19、20日に決定会合 FRBは利下げへ

AI要約

日銀は短期金利を現行水準で維持する方針を示し、利上げの時期やペースを慎重に探るとしている。

日銀は市場や経済の動向を注視しながら利上げを進める考えを示し、次回の会合でも慎重に物価などを点検する予定。

FRBが利下げを見込む中、日銀が利上げを進める動きになれば円高が進み、輸出企業にとっての懸念が生じる可能性がある。

日銀、政策金利は維持の公算 19、20日に決定会合 FRBは利下げへ

日銀は19、20日に金融政策決定会合を開く。政策金利である短期金利は0・25%程度の現行水準を維持する公算が大きい。7月の前回会合で決めた0・15%程度の利上げの影響を見極めるとともに、不安定な値動きが続く金融市場の動向を見守ることを優先する。日銀は利上げの方針を堅持した上で、追加利上げの時期やペースを慎重に探る。

植田和男総裁は8月23日、国会の閉会中審査で、市場を注視しつつ経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進めるとの考えを繰り返し説明した。9月会合でも、賃上げの広がりや物価の動向を丁寧に点検する。

8月末から9月中旬にかけては、氷見野良三副総裁や3人の審議委員が講演で「金融緩和の度合いを調整していく」などと発言。植田氏と同じく利上げに前向きな姿勢を相次いで強調した。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げに踏み切る見通しだ。物価高に沈静化の兆しが見えてきたことに加え、雇用に弱さが出てきたことに対応する。

日銀は利上げ、FRBは利下げと正反対の方向へ動き出せば、ドルを売って運用面で魅力が高まる円を買う動きがさらに加速することも予想される。

過度な円安が是正されれば、輸入品の価格上昇を通じた物価高が抑制される可能性がある一方、円高が輸出企業の業績に逆風だとして日本株を押し下げる懸念もある。

みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは日銀の9月会合について「金融市場の不安定化に対処する観点から、政策金利は据え置かれる公算が非常に大きい」と指摘。その上で会合後の植田氏の会見では「さらなる追加利上げを見据えている状況は不変であることを改めて示すだろう」と予測する。(宇野貴文)