マスク氏がまた“虚偽拡散”「猫の画像」投稿の意図は? 信頼低下で広告主は“X離れ”が急加速

AI要約

イーロン・マスク氏がXに投稿したアヒルのヒナと子猫の2ショットは、アメリカで物議を醸すデマに関連したものである。

トランプ陣営がオハイオ州の移民コミュニティを巡るデマを拡散し、これに対してハリス副大統領は冷静に対処した。

カンターの調査ではX広告への信頼性が低下し、イーロン・マスク氏の不適切な投稿がXの広告収入に影響を与える可能性がある。

マスク氏がまた“虚偽拡散”「猫の画像」投稿の意図は? 信頼低下で広告主は“X離れ”が急加速

 「彼らを救って!」

 Xに投稿された愛らしいアヒルのヒナと子猫の2ショット。投稿したのは実業家でXのオーナーでもあるイーロン・マスク氏。実はこの投稿、今アメリカで物議を醸している「あるデマ」を受けてのものだ。

 「この国にいるべきではない人々にペットがさらわれ、食べられたという。国境警備官はどこにいる?」(J.D.バンス氏の投稿)

 トランプ陣営は「オハイオ州のハイチ移民がペットを殺して食べている」という主張をSNSなどで拡散。11月の大統領選に向けたテレビ討論会でもトランプ氏は「(オハイオ州)スプリングフィールドでは、移民が犬を食べている。猫も食べている。住民のペットを食べている。これが我が国で起きていることだ」と主張。

 だが、これに対しハリス副大統領は落ち着いていた。「極端な話だわ」と受け流したのだ。

 『ABEMAヒルズ』がオハイオ州スプリングフィールド市に問い合わせたところ、「移民コミュニティ内の個人によってペットが傷つけられたり、けがを負わされたり、虐待を受けたりという信憑性のある報告はありません」という回答があった。

 根拠のない噂に乗った形となったマスク氏だが、これまでにもハリス氏のフェイク動画を再投稿するなど、不適切な画像や動画をたびたびXで拡散し、「ルールに反する投稿だ」とXユーザーから批判を浴びている。

 イギリスの調査会社カンターは9月5日、インターネット広告のプラットフォームについて企業のマーケティング担当者などを対象にした調査結果を発表した。この調査で「2025年にXへの広告費を削減する」と回答した担当者は26%に上っている。また、Xが信頼できる広告媒体だとする割合は、2022年は22%だったが、2024年には12%となり、大幅に低下。他のプラットフォームと比較しても大きな差をつけられている。

 Xが広告主のブランド保護に消極的だと見られていることからカンターの分析担当者は「Xへの広告費を減らす傾向が好転する可能性は低い」と指摘しており、広告収入減により経営に大きなダメージを受けることが予想される。

 苦境に立たされるイーロン・マスク氏だが、トランプ氏は「大統領に返り咲いたら政府の財政の効率化を目指す委員会を設置し、そのトップにイーロン・マスク氏を起用する」と明らかにしている。

 マスク氏とトランプ氏による「移民がペットを食べる」という虚偽拡散について、アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授は「トランプ氏の支持層は信じている」と説明した。

 「トランプ氏は『国境を超えてくる人たちはあなたのペットを食べる。移民を受け入れようとする民主党はとんでもない』というメッセージを発しており、支持層は信じている。一方ハリス氏は討論会におけるトランプ氏の発言に『こんなバカなことまで言うのか』と嘲りの笑いを浮かべた。民主党支持者は『やっぱりトランプはダメだ』と考えたはず。ここでも“分断”が起きている」

 また、マスク氏のXにおける虚偽拡散については「プラットフォーマーは規制をかける側だが、もはや公共の場とも言えるSNSにおいて、自分で一番ひどいものを出して自分で信頼を潰している。まるで『Xは儲かっていないから自分がやりたいようにやってしまおう』と考えているように見える」と述べた。

(『ABEMAヒルズ』より)