ホンダ・日産も抜いた「BYD」が…もうすぐ息切れの理由、現地視察で見えた“現実”

AI要約

2024年4~6月の世界新車販売において、BYDがホンダや日産を抜いて世界7位になったことが報道されました。

BYDはすでに中国市場でナンバー1の地位を獲得しており、成長が続いています。

BYDの成長が続けば、今後もさらなる競争力を持つ可能性があります。

ホンダ・日産も抜いた「BYD」が…もうすぐ息切れの理由、現地視察で見えた“現実”

 2024年4~6月の世界新車販売において中国BYDが約98万台(前年比プラス40%)を達成し、約92万台のホンダ、約79万台の日産を抜き、世界7位になったと日本経済新聞が発表しました。BYDはホンダや日産、スズキといった日系ブランドを抜いただけでなく、「米ビッグ3の一角でもあるフォード(約114万台)の背中も捉えており、さらに業界の序列を崩す可能性が高い」とも言います。BYDの勢いは本物なのでしょうか。BYDの今後の成長を占うポイントを解説します。

 4~6月(3カ月間)の成績とはいえ、報道にあるとおり、1995年に創業したばかりの新鋭BYDがホンダや日産を抜いたことに驚く人もいるでしょう。しかし、BYDは前年の2023年には、すでに302万4417台(前年比プラス61.9%)の年間販売台数を達成しており、中国ではナンバー1の地位を獲得しています。

 現在の中国市場は、EVに対する補助金も終わり、修羅のごとき値引き合戦が繰り広げられています。そんな厳しい状況の中で、BYDは前年比プラス60%もの数字をたたき出しました。

 ちなみに、BYDの年間販売台数302万台のうち、EVは約半数しかなく、残りはプラグインハイブリッドなどが占めます。もちろん、プラグインハイブリッド車には内燃エンジンも搭載されています。つまり、BYDはエンジンを作る技術も持っているのです。その意味で言えば、もはやBYDを「新興のEVメーカー」と見る時期は過ぎており、「激戦区の中国を勝ち抜いた強者の自動車メーカー」と認識すべきでしょう。

 実際にBYDの年間販売台数302万台という数字は、トヨタの年間1100万台には遠くおよびませんが、ホンダの約399万台、日産の約337万台は射程距離にあると言えます。

2023年の年間生産台数/販売台数

(出典:各社の公表資料・報道情報より筆者作成)

 もしも、BYDが昨年と同様に年間プラス60%もの成長を達成すれば、2024年は約483万台にもなり、そうとなれば、ホンダだけでなく、本当に年間441万台のフォードさえも抜き去ってしまうことになります。

 仮に、2025年もプラス60%で成長することができたとすると年間782万台の計算となり、ステランティス(約639万台)やゼネラルモーター(約618万台)、さらにはヒョンデ(約730万台)も追い越し、トヨタやフォルクスワーゲンに次ぐ世界3位に手が届くことになります。あくまで可能性の話ですが、こう考えるとBYDがすでに新興メーカーといった位置付けにはないことが分かるでしょう。

 とはいえ、そう簡単に成長が続くわけではありません。BYDに立ちはだかる壁はいくつか存在します。