「年金だけでは心もとない」と言って、年金をもらいながら働いている70歳の父。体が心配なのですが、同じような人って多いのでしょうか……?

AI要約

高齢者の年金だけでの生活が難しい現状について解説。経済的な不安を感じる世帯も3割に上り、多くの高齢者が仕事をして収入を得ていることが示唆される。

高齢者世帯の平均所得は全世帯よりも少なく、特に年間所得150~200万円の世帯が多い。生活に苦しむ世帯も多い実態が浮かび上がる。

高齢者の労働力人口は増加傾向にあり、正規雇用や非正規雇用で働く高齢者が多いことが示される。

「年金だけでは心もとない」と言って、年金をもらいながら働いている70歳の父。体が心配なのですが、同じような人って多いのでしょうか……?

年金で生活している高齢者のなかには、経済的な理由から、年金に加え仕事をして得た収入も生活費にあてているという人がいます。本記事では70歳以上の高齢者の所得や労働の現状について解説します。高齢者に人気の職業も紹介するため、参考にしてみてください。

内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、経済的な暮らし向きについて心配がないと感じている人の割合は、68.5%です。「心配がない」というのには、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した人が該当しています。

反対に「家計にゆとりがなく、多少心配である」「家計が苦しく、非常に心配である」と回答している人も31.2%いるため、年金所得だけでの暮らしが大変な人も少なくないことが分かります。

実際の所得から見ると、高齢者の収入はどれくらいなのでしょうか。同資料によると、全世帯の平均所得金額が564万3000円であるのに対し、高齢者の世帯は平均所得額が332万9000円です。全世帯平均のほうが平均世帯人員が若干多いものの、高齢者世帯の所得が大幅に少ないことが分かります。

年間332万9000円であれば、働かなくてもやっていけるのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、高齢者世帯の所得の分布をみると、年間所得が150~200万円の世帯が最も多く、この金額で夫婦が暮らしていくのはやはり苦しいといえるでしょう。

前述より、高齢者世帯の約3割が、生活に経済的な不安があることが分かりました。実際、高齢者の労働力人口は上昇傾向にあるようです。総務省統計局の「労働力調査 2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、2023年の労働力人口6925万人のうち65歳以上の高齢者の労働力人口は、930万人です。

なお、高齢者の労働力人口のうち、正規雇用で働いている人は126万人、非正規雇用で働く人は417万人です。この結果から、正規雇用で働き続けている人も少なくなく、年金受給対象となっても働いている人が多いことが分かります。また非正規雇用の割合が他の年代よりも多く、定年退職後に再就職して働いている人が多いことが想定されます。