銀行規制修正案、資本要件引き上げ水準緩和へ=FRBバー副議長

AI要約

米FRB副議長が、バーゼル3規制案と大手銀行向けの資本規制緩和案について明らかにした。

規制は銀行の自己資本額とリスク対応を重視し、銀行規模に応じた資本要件を設定。

規制強化と業界反発の中、各機関が合意し、修正案の公表が検討されている。

銀行規制修正案、資本要件引き上げ水準緩和へ=FRBバー副議長

[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は10日、銀行の国際的な資本規制(バーゼル3)の最終化実施規制の案と、金融システムに大きな影響を与えかねない大手銀行向けの資本規制を緩和する内容の大幅な修正案に関する概要を明らかにした。ブルッキングス研究所での講演で明らかにした。

2023年7月に初めて公表されたバーゼル規制の草案は、資産1000億ドル超の銀行が、潜在的な損失の発生に備えるために積み増す必要のある自己資本額の算定を見直すもの。世界の金融システムを安定的に維持するために重要な銀行(GSIB)を対象としたもう1つの規制案は、これらの銀行の資本水準をよりリスクに対応できるようにすることを目的としていた。

バー氏は、全体として、米国の最大手に位置する銀行に関しては約19%の資本要件引き上げを想定していたが、これを9%に引き下げると説明。一方、資産規模2500億ドル以下の銀行はバーゼル規制の対象からほぼ完全に除外されることになる、とも付け加えた。

バー氏は「資本規制の強化には利点がある一方、コスト負担がある。われわれの見直しでは、寄せられた意見を踏まえて、この重要な2つについてよりバランスを取れたものにする」と述べた。

FRBは、昨年、米国の大手銀行が3行破綻した後、大幅な規制強化に踏み切る構えを示し、銀行システムはより安全になると主張してきた。一方、金融業界は、資本の上乗せは必要なく、それに踏み切れば経済を悪化させると反論。FRBなどの規制当局が適切な手続きを踏んでいないとして、規制を止めるために訴訟を起こすことも辞さない姿勢を示していた。

こうした反発を踏まえ、FRBのパウエル議長は、新たな草案を示し、意見公募すべきだとする考えを示していた。しかし、通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)は11月の大統領選挙前に最終決定したいとして、FRBと意見が対立していると、6月にロイターが報じていた。今回のバー氏の発言は、各機関が今後の方針について合意したことを示している。

バー氏はこれらの規制案の公表時期に触れなかった。ブルームバーグは6日、当局は修正案を今月にも公表する可能性があると報じており、FRBは新たな規制案と同時に影響分析も発表するもよう。対立を背景に議論が長引けば、大統領選までに最終決定されないことになる。規制緩和を訴える共和党候補のトランプ前大統領が返り咲けば、規制案がさらに内容を弱めたり、棚上げされたりする可能性もある。