「2CVとIDの間」を埋めた変顔! シトロエン・アミ UK版中古車ガイド(1) ロータリー仕様も

AI要約

カーデザイナーのフラミニオ・ベルトーニ氏が手掛けたシトロエン2CVとIDのギャップを埋めるアミ6のデザインについて

アミ6の特徴や性能向上の取り組み、後継モデルであるアミ8やアミ・スーパーの登場について

アミ・シリーズの人気や生産拠点、珍しい仕様のアミ・サービスバンやM35について

「2CVとIDの間」を埋めた変顔! シトロエン・アミ UK版中古車ガイド(1) ロータリー仕様も

今でも見惚れてしまうシトロエンDSのスタイリングを描き出した、カーデザイナーのフラミニオ・ベルトーニ氏。その5年後に、シトロエン2CVと、DSの廉価版、IDのギャップを埋めるコンパクトモデルのデザインを任された。

彼が想定した購買層は、裕福なフランス人女性ドライバー。かくして、スタイリッシュで洗練された原案が生み出された。しかし、2CV用の空冷エンジンを流用することが決まり、なだらかに傾斜したフロントマスクには変更が求められた。

最終調整を受けたアミ6の見た目は、恐らく、すべての人の好みに合致するとはいえないだろう。それでも、大きな注目を集めたことは間違いない。2CVより上級のモデルだという印象を与える、本来の目標は達成している。

1961年に発売されたアミ6の特徴の1つが、まだ珍しかった丸くないヘッドライト。また、ボディには強度を増すプレスラインが要所へ施され、パネルには薄い鋼板が利用された。アルミニウムも多用し軽量化することで、優れた走行性能を引き出した。

結果的に、ボックスセクション構造のサイドシルは、外板を中心に錆びやすい。ボディ剛性を確保したのは、強固なバルクヘッドだった。

2CVと動力性能に差を与えるため、425ccの水平対向2気筒エンジンは、ボアとストロークを拡大。602ccの排気量から、24psを発揮した。しかし、このユニットは後に2CVにも与えられている。

サルーンの大きなリアウインドウは通常とは逆に傾斜し、リアシート側の頭上空間を確保しつつ、広い荷室も実現。ルーフラインが長く伸び、実際より大きく見えるという効果もあった。それでも、少し個性的すぎたことは否定できない。

1964年には、ステーションワゴンのブレークが登場。これは見慣れた後ろ姿で、実用性でも勝り、販売数はサルーンをすぐに追い越した。1966年には、フランスのベストセラー・モデルに輝いている。

1968年には、32psへ増強されたアミ8が登場。デザイナーのロバート・オプロン氏によってフェイスリフトも施され、眉毛のようなフロントのラインは滑らかに。ディスクブレーキも与えられた。

シトロエンGS譲りの1015cc水平対向4気筒エンジンを得たのは、1973年。この55psのアミ・スーパーは、ホットハッチと呼べるような活発な走りを実現した。硬いアンチロールバーを獲得し、大げさともいえるボディロールは抑制されていた。

内装には、ルクス、コンフォート、クラブという3グレードを設定。クラブを指定すると、フロントシートはリクライニング可能になった。

アミ8のブレークも、サルーンを超える販売数を獲得。スーパーも魅力的な存在といえた。こんなアミ・シリーズは、フランスだけでなくスペイン、ユーゴスラビア、ポルトガル、ベルギー、アルゼンチン、チリの工場でも生産されている。

珍しい仕様は、アミ・サービスバン。それを超えるのが、シングル・ロータリーエンジンを搭載したM35だ。これは、試験的に267台しか生産されていない。