ギリシャ「週6労働法」で“ブラック国家”化、「日本も他人ごとではない」理由

AI要約

日本で週4労働試みが広がる中、ギリシャは逆行し週6労働法を導入。

週6労働法は24時間体制企業に適用され週40時間労働を最大48時間まで延長。

新法は労働組合やアナリストから批判を受けつつも、公平な報酬を目指しているとされている。

ギリシャ「週6労働法」で“ブラック国家”化、「日本も他人ごとではない」理由

 この数年、日本で一般的な週5勤務よりさらに1日労働日数が少ない(=休日が多い)週4労働の試みが世界各地で実施されている。この動きは、生成AIはじめ、ITによる業務効率化の流れも相まって加速の様相だ。そんな中、「週6労働法」を導入したとして話題となっているのがギリシャだ。なぜギリシャは世界の労働トレンドに逆行し、日本流で言えば「ブラック企業支援」とも言われかねない法律を導入したのか。探ってみると、日本も他人ごととは言えない深刻な側面が見えてきた。

 世界各地で週4日労働制度の導入に向けた取り組みが増えつつある中、ギリシャではこれに逆行する法律が施行され、物議を醸している。

 ギリシャ政府が2024年7月1日に施行した週6日労働を可能にする法律だ。主に24時間体制で運営される企業に適用され、従来の週40時間労働を最大48時間まで延長することを認めるもの。

 対象企業は、従業員に1日2時間の勤務か、8時間のシフトを追加することが可能となる。ただし、食品サービス業や観光業は対象外となっている。

 ギリシャのニキ・ケラメウス労働社会保障相は、CNBCに対し「この新規制は、ギリシャの法律で定められた週5日・40時間労働制に影響を与えるものではなく、また新たな週6日労働制を確立するものでもない」と説明。その上で「限られた状況下で追加の労働日を選択できるようにする例外的な措置にすぎない」と述べている。

 ケラメウス労働社会保障相によれば、新規制の対象となるのは、24時間年中無休で交代制勤務を採用している企業と、週5日または6日の24時間営業で交代制勤務を採用している企業の2種類に限定される。特に後者については「業務量が増加した場合にのみ追加の労働日が許可される」としている。

 新法の目的について、同労働社会保障相は「従業員をサービス残業から保護し、公平な報酬を確保すること」だと説明している。たとえば、労働時間の増加により給与が上昇する可能性があるという。

 一方で、新法に対する批判の声も強い。ギリシャの労働組合や政治アナリストたちは、この動きを「野蛮(barbaric)」だと非難。公務員労働組合Adedyのアキス・ソティロプロス執行委員は「ほとんどの先進国が4日労働制を導入しようとしている中、ギリシャは逆方向に進んでいる」との批判を展開している。