関電、使用済み核燃料の搬出計画見直し 地元の不信続けば40年超原発の運転危うく

AI要約

六ケ所村の再処理工場完成遅れにより、関西電力は使用済み核燃料の福井県外搬出計画を見直さざるを得なくなった。

再処理施設の計画は不確実で地元の不信感が根強い。関電は新たな計画策定に取り組む決意を示したが、運転継続が危ぶまれている。

関電は搬出計画を再見直し、核燃料を乾式貯蔵施設へ一時保管する対策を講じているが、地元の納得と再処理施設の計画が不可欠。

青森県六ケ所村にある使用済み核燃料の再処理工場の完成遅れにより、令和8年度からとしていた同燃料の福井県外への搬出計画を見直さざるを得なくなった関西電力。森望社長は計画を今年度末までに見直すとしたが、再処理施設の完成は見通せず、地元の不信感は根強い。地元が納得しなければ、運転開始40年超の県内原発の運転継続も危うくなりかねない。

「必要な使用済み核燃料の搬出容量の確保をしっかりと進め、県民の信頼を得られるようにしたい」。5日午後、関電の森社長は、新たな計画の策定に不退転の覚悟で臨む決意を示した。

だが、六ケ所村の再処理工場は27年前の平成9年の完成予定が、度重なるトラブルで27回も延期した。

関電は日本原燃の新たな再処理工場操業計画を踏まえ搬出計画を見直す。杉本達治知事は「年度末といわずにできるだけ早く示してほしい」と話すが、実効性のある計画ができるかどうかは再処理工場の完成見通しに左右され、不確実だ。

また、関電は県に対し「使用済み核燃料の県外搬出先を確保できなければ運転開始40年超の美浜3号機、高浜1、2号機の運転を継続しない」と約束している。搬出計画が地元に受け入れられなければ、これらの原発の運転継続は難しくなる。

県内では、稼働中の7基の原発から出る使用済み核燃料を保管するプールが約4年で満杯になる見通しで、状況は切迫している。対策の一つとして、関電は搬出まで核燃料を原発敷地内に一時保管する「乾式貯蔵施設」を設置する計画を原子力規制委員会に許可申請している。

だが、根本的な解決策とはいえず、再処理工場の稼働や、県外搬出の工程に対する地元の納得を得る努力が不可欠だ。(桑島浩任)