実質賃金は2カ月連続増、基本給32年ぶり伸び率-日銀正常化に追い風

AI要約

物価変動を反映させた7月の実質賃金が2カ月連続で前年を上回り、基本給や賞与の増加が名目賃金を押し上げた。日本銀行にとって好材料となる可能性がある。

実質賃金は前年比0.4%増と市場予想を上回り、名目賃金や基本給、賞与が大幅増加。日銀は賃金と物価の好循環が強まると見ており、追加利上げに追い風が吹く可能性がある。

今年の春闘では平均賃上げ率が33年ぶりの5%台を実現し、大手企業のボーナスも過去最高の水準となった。

実質賃金は2カ月連続増、基本給32年ぶり伸び率-日銀正常化に追い風

(ブルームバーグ): 物価変動を反映させた7月の実質賃金は2カ月連続で前年を上回った。好調な春闘が反映されて基本給が1992年11月以来の高い伸びとなったほか、賞与も大幅に増加し、名目賃金を押し上げた。金融政策の正常化を進める日本銀行にとって好材料となり得る。

厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比0.4%増と市場予想(0.6%減)に反して増加した。6月には27カ月ぶりにプラスに転じていた。名目賃金に相当する現金給与総額は3.6%増となった。基本給に当たる所定内給与は2.7%増と前月から伸びが加速。賞与など特別給与は6.2%増だった。

エコノミストが賃金の基調を把握する上で注目するサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースでは、名目賃金は4.8%増。所定内給与は2.9%増と同ベースでの公表が開始された2016年以降で最高となった。

日銀は賃金と物価の好循環が強まり、消費者物価の基調的上昇率は2%目標に向け徐々に高まると予想している。植田和男総裁は3日、経済・物価見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていく考えを改めて表明。賃金の伸びが物価上昇率を上回る状況が維持されたことで、追加利上げの時期を探る日銀に追い風となりそうだ。

実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は7月に3.2%上昇。前月から伸びは縮小したものの、3カ月連続で3%台が続いている。

ブルームバーグが先月6日に実施した特別調査によると、回答した34人のエコノミストのうち65%が年内に政策金利を0.25%程度からさらに引き上げると見込んでいる。最多は12月の41%だった。

今年の春闘では平均賃上げ率が33年ぶりの5%台を実現した。経団連が先月7日に発表した大手企業の2024年夏のボーナス最終集計結果によると、平均妥結額は94万1595円と現行の集計方法を採用した1981年以降で2番目に多かった。

(c)2024 Bloomberg L.P.