【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…8月最終週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」

AI要約

為替市場では、円高米ドル安の動きが見られ、投機筋のポジションも影響を受けている。

消費者物価指数は上昇傾向にあり、特にエネルギー価格が押し上げ要因となっている。

将来的には円高が物価を下押しする可能性があるが、補助金の影響によりコアCPI上昇率は変動する見通し。

【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…8月最終週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」

ドル/円急落により「円安トレンド」の転換をも予感させる現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、今週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「注目の経済指標」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

為替市場では、前週に円安米ドル高が進行したことで、持ち高調整の円買い米ドル売りが入ったことや、米雇用統計の年次改定や7月開催分のFOMC議事録の公表を受け、日米金利差の縮小を意識した、円買い米ドル売りが優勢となったことなどから、23日には1米ドル=146.27円と、16日(149.13円)に比べ円高米ドル安となりました(図表1)。

シカゴ通貨先物市場IMMにおける投機筋による円のポジション(持ち高)をみると、ロング(買いポジション)が積み増された一方で、ショート(売りポジション)が取り崩されました。それにより、2021年3月以来、3年5か月ぶりにネットロング(買いポジション超過)に転じました(図表2)。

これは、FRBが利下げを開始する一方で、日銀が利上げを継続することで、日米金利差が縮小するとの見方から、投機筋が円キャリートレードの終了を見越して、中⻑期的な円高予想に傾きつつあることを示していると考えられます。今後、日米金融政策の方向性の違いから、円のネットロングが積み上がれば、投資家はそれに追随する形で、円高方向にポジションを傾けることが予想されます。

総務省が公表した2024年7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、以下コアCPI)は前年比+2.7%と、6月(同+2.6%)から小幅ながら伸びが拡大しました(図表3)。

生鮮食品を除く食料(6月︓前年比+2.8%→7月︓同+2.6%)の伸びが鈍化したものの、エネルギー(6月︓前年比+7.7%→7月︓同+12.0%)が拡大したことが、コアCPIを押し上げました(図表4)。

エネルギーの内訳では、2023年8月から開始した電気・ガス代補助金が6月請求分でいったん終了したことで、電気代(6月︓前年比+13.4%→7月︓同+22.3%)、都市ガス代(6月︓前年比+3.7%→7月︓同+10.8%)の伸びが高まった格好となっています。なお、9月~11月(8月使用分~10月使用分)は補助金が一時的に復活することで、電気代、都市ガス代は再び押し下げられ、12月(11月使用分)以降は、補助金が終了する予定となっています。

生鮮食品を除く食料については、原材料費の上昇を価格転嫁する動きが強まった前年は、高い伸びとなったものの、その裏の影響が出ていることや消費の低迷といった下押し要因もあり、2023年7月(前年比+9.2%)をピークに、伸びは鈍化傾向にあります。先行きについては、円安による輸入物価上昇を起点とした、コスト上昇圧力を転嫁する動きが強まることが押し上げ要因となることから(図表5)、生鮮食品を除く食料は、年内にいったん鈍化に⻭止めがかかる可能性があります。

もっとも、為替市場で7月中旬の1米ドル=161円台から、足もとでは140円台半ばまで急速に円高米ドル安が進行していることから、中⻑期的には財価格の下押しに作用することが予想されます。

コアCPI上昇率は、電気・ガス代補助金が復活する9月~11月に2%台前半へ鈍化し、その後は補助金終了にともない、伸びを高めるものの、円高による下押し圧力が加わることから、2025年度入り後に2%台を下回ることが予想されます。