ロシア「異形の戦車」から機関砲が消えた? ガン・ミサイル両方載せから“一本化” ドローン対策に選んだのは

AI要約

ロシアの軍事フォーラム「Army」が2024年に非公開で開催され、ウクライナとの戦争の影響があることが推測される。

「Army-2024」では、ドローン対策関連として近距離防空システム「パンツィリ-SMD-E」が展示され、新しいミサイルランチャーが注目された。

かつてのソ連製の対空戦車には、機関砲とミサイルを一台のプラットフォームに搭載した異形の兵器が存在し、その重武装ぶりが特筆される。

ロシア「異形の戦車」から機関砲が消えた? ガン・ミサイル両方載せから“一本化” ドローン対策に選んだのは

 ロシアが軍事ビジネス機会の創出と国威発揚のため、毎年開催している軍事フォーラム「Army」。2024年のArmyは昨年までとは違い原則非公開で行われました。プレスも限定され、開催期間も8月12~14日と昨年より短縮されています。ウクライナとの戦争が影響していることは間違いないでしょう。

 

 こうした軍事フォーラムで現在、主力展示のひとつとなっているのが、ドローン対策関連です。「Army-2024」には近距離防空システム「パンツィリS1」の最新バージョン「パンツィリ-SMD-E」が出展されました。ここで注目されたのが、パンツィリの対空機関砲が無くなり、代わりに小型のミサイルランチャーが追加されていたことです。

 対空システムにおいて、機関砲とミサイルは補完関係にあり「ガン・ミサイルコンプレクス」ともいわれていますが、旧ソ連は両方をひとまとめにして1台のプラットフォームに搭載したシステムを登場させます。

 1989(平成元)年に存在が確認された2K22 ツングースカは、1台の装軌車体に対空ミサイル57E6を8発と4連装の30mm機関砲を載せるという「ガン・ミサイル両方載せ」の対空戦車でした。日本の87式自走高射機関砲やドイツのゲパルト対空戦車が35mm機関砲2門だけであったことと比較しても、異形ともいえる重武装ぶりがわかります。

 冷戦時代のソ連製兵器には謎が多く、この異形の対空戦車も限られた容量の車内に、ただでさえ複雑な対空戦闘の制御管制システムを詰め込んでいます。ましてやミサイルと機関砲の2種類です。構造的に無茶であり、見掛け倒しではないかとさえいわれました。

 しかし、ロシア/ソ連以外にも中東などで導入国があり実戦でも使用されています。さらに2012(平成24)年になると、改良廉価版である装輪式の「パンツィリS1」が登場して、「ガン・ミサイル両方載せ」も異形扱いされないようになってきました。