日本導入にも期待! ホンダのレース部門が「全方位的に強化した」2シーターの「インテグラ」初公開!! 320馬力をMTで操れる

AI要約

モントレー カーウィークの重要イベントである「クエイル モータースポーツ ギャザリング」でアキュラがお披露目した「インテグラ タイプS HRCプロトタイプ」は、日本未展開のモデルをベースにアメリカのHRC USが手がけたコンプリートカーではなく、将来的に展開を予定しているパフォーマンスパーツのコンセプトを示している。

車両は外観から内装、エンジン、サスペンション、ブレーキまで徹底的にパフォーマンス向上を図るための改良が施されており、軽量化や空力パーツの採用も進んでいる。

また、記事ではHRCのコンプリートモデル展開やアキュラ車の日本導入についての展望も示唆されており、今後のHRCやアキュラの動向に注目が寄せられる。

日本導入にも期待! ホンダのレース部門が「全方位的に強化した」2シーターの「インテグラ」初公開!! 320馬力をMTで操れる

 毎年8月の第3週にアメリカ・カリフォルニア州のモントレーで開催される自動車イベントの総称「モントレー カーウィーク」。その中でも重要イベントのひとつである「クエイル モータースポーツ ギャザリング」の場でアキュラがお披露目した注目作が「インテグラ タイプS HRCプロトタイプ」です。

 日本では展開されていない現行「インテグラ」のホットモデル「タイプS」をベースに、トラックユースを念頭にアメリカのHRC USのエンジニアたちが腕を奮ったこのモデルは、正しくはコンプリートカーではなく、この先に展開を予定している「HRC×パフォーマンスパーツ」のコンセプト。実際に発売された折には、ユーザーは自分のクルマにこのパーツを組み込んで楽しめるようにと考えられています。

 思わず息をのんでしまうのが、第2世代「NSX」に使われたインディイエローパールで塗られたボディの刺激的なアピアランスですが、「パフォーマンス向上につながらないアイテムは一切含まない」と豪語するその内容は、エンジン、サスペンション、ブレーキ、空力に軽量化と、全身多岐に渡ります。

 まず外観は、フロントの開口部拡大と大型スプリッターの採用、そしてボンネットベント、サイドスプリッター、アルミニウム製ステーにマウントされる角度調整可能なCFRP製リアウイングによって武装されています。

 これらはツーリングカーレース「TCアメリカ」参戦マシンの開発で培ったノウハウを活かしたもので、元々ワイドフェンダーの装着などによって精悍に仕立てられた「タイプS」を、さらにハードコアな雰囲気に変身させています。

 忘れてはいけないのが、フロントグリル、フェンダー、そしてリアに装着されたHRCバッジ。アルミニウム製のそれは当然レースカーと同じデザインで、このマシンの出自を明確に物語っています。

 そして軽量化。外観ではベントの開けられたボンネットやリアドアがCFRP製とされているほか、内装にはやはりCFRPでできたレカロ製ワンピースバケットシートを装着し、さらにリアシートは省かれてCFRP製のシェルフに置き換えられています。このスペースにはタイヤ4本の搭載が可能です。

 また、リアバルクヘッドにはレーシングハーネスの装着用ポイントを兼ねたいかにも頑丈そうなXブレースが装着され、シャシー剛性アップを図っています。

 望むならば、エアコンのレスオプションも可能。そうするとトータルで約90kgもの重量を削り取ることができるのです。

 標準では最高出力320psを発生する2リッターVTECターボエンジンは、大型インタークーラー、ツインオイルクーラー、軽量エギゾーストシステムなどを組み合わせることで、冷却性能だけでなく出力、応答性をも高めているとのこと。これも、やはりレーシングカーで開発されたものですが、実際の出力は未発表です。

 シャシーには、15mmローダウン、そしてキャンバー調整プレートを備えたトラック対応のサスペンション、リアの調整式スタビライザーを採用。9.5J-19という幅広の鍛造ホイールはオフセットが増やされ、前後トレッドを30mm拡大しています。そもそも「タイプS」自体、車幅はベース車より約70mmワイドになっていますから、迫力は相当なものです。

 そして、265/30ZR19サイズのタイヤはピレリ「P-ZEROトロフェオR」。大きくネガティブキャンバーがつけられたタイヤがフェンダーぎりぎりまで張り出した、そのルックスはたまらないものがありますよね。

●「インテグラ」の日本導入は決して夢物語ではない

 さて、HRCといえば、日本での活動も気になります。本田技研工業が出資するモータースポーツ専門会社として、2022年に4輪を含む新体制が発足した際、「HRCとしてゆくゆくは市販車をベースにしたコンプリートモデルも手がけたい」という発言がありました。今回の「インテグラ タイプS HRCプロトタイプ」は、それとどのようにリンクしてくるのでしょうか?

「今回のクルマは、HRC USの方から『こういうのをつくったんだけど出してもいいか?』という感じで提案されたもので、あくまでスタディ。パフォーマンスパーツを展開していくという宣言ですね。アメリカはスピード感が速いんですよ。ですが、我々はグローバルなので、アメリカも含めた別なモデルの展開を、完成車としても手がける……そういう方向で考えています」

 発表の翌日、往年のF1マシン「RA272」が走行したラグナセカ サーキットで、渡辺康治HRC社長にそんな話を聞くことができました。HRCのコンプリートモデル、期待したいところです。

 ちなみにアキュラ車についても、本田技研工業の青山副社長は以前に「考えていないわけではない。今ならネット販売などの方法もあるのだし」と話されていました。

 案外、「インテグラ」の導入だって将来的には決して夢ではないのかも? と、勝手に希望がふくらんでしまいます。

 HRC、アキュラ、そしてもちろんホンダ。今後の展開は、日本のスポーツモデルファンにとって目の離せないものになりそう。「アキュラ インテグラ タイプS HRCプロトタイプ」の発表は、そんな予感を抱かせるワクワクものだったのです。