女性管理職の割合、初の1割超え~じわり前進も「女性の昇進意欲」などに課題~

AI要約

政府は女性管理職の割合を30%に増やす目標を掲げ、企業も女性活躍を推進する姿勢が強まっている。

帝国データバンクの調査では、女性管理職の割合が着実に増加しており、特に従業員数が多い企業での増加が顕著である。

上場企業では女性管理職比率や男女間賃金格差の開示が義務化され、女性管理職や役員の増加が期待されている。

女性管理職の割合、初の1割超え~じわり前進も「女性の昇進意欲」などに課題~

 政府は、女性管理職の割合が2020年代の可能な限り早期に30%程度となることを目指している。

 また「女性版骨太の方針2024」では、東証プライム市場に上場する企業の女性役員の割合を、それまで設けられていた目標の「2030年までに30%以上」に加え、「2025年までに19%」にする新しい成果目標が掲げられるなど、企業における女性活躍の推進がますます求められている。

 そこで、帝国データバンクは女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。

 自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」が11.4%、「20%以上 30%未満」が6.4%、「10%以上 20%未満」が9.1%、「10%未満」が25.5%だった。また、管理職が全員男性である企業は43.0%と前年から2.1ポイント低下したが、全項目のうち最も高かった。

 政府目標の「30%程度」を達成している企業の割合は前年から1.6ポイント増と、上昇幅は過去最大となり、2013年の調査開始以降で初めて10%を超えた。上昇スピードが加速する兆しがみられる。一方、「10%未満」(0%を含む)は68.5%となり初めて7割を下回った。

 管理職に占める女性の割合の平均は10.9%と調査開始後初めて10%台に乗った。前年からの上昇幅は1.1ポイントと2021年と並び過去最大の伸びとなった。

 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.5%と、前年(13.1%)から0.4ポイント増加し、過去最高となった。一方で、役員が全員男性の企業は52.4%と依然として半数を超えた。

 自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7%となった。

 女性役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.0%となった一方で、「変わらない」は57.2%と過半数を占めた。

 従業員数別にみると、「301人以上」では女性管理職の割合が今後「増加する」と見込む企業は65.0%と全体(32.7%)を32.3ポイント上回っており、女性役員の割合についても全体より15ポイント近く高かった。また、全区分のうち、従業員数「301人以上」における前年からの増加幅は管理職・役員ともに最大となった。とりわけ行動計画の策定や公表が義務化されている従業員数が多い企業では、女性管理職・役員の割合が増加すると見込む企業がより多い結果となった。

 2023年3月期決算の有価証券報告書から「女性管理職比率」や「男女間賃金格差」などの開示が義務化された「上場企業」では、今後女性管理職が「増加する」と考えている企業の割合が67.1%となり、全体より30ポイント以上高かった。また、女性役員が「増加する」とする割合も35.6%と全体を20ポイント以上上回った。