自動車用「空気清浄機」が注目されている根本理由 市場規模は2500億円、賛否両論のワケとは

AI要約

自動車メーカーが空気清浄機能を搭載したモデルを増やしている。

外付けタイプの空気清浄機も増えており、健康意識の高まりで市場が拡大している。

空気清浄機はアレルギーを持つ人や高齢者、子どもにも有用で、ボルボ・カーズなどが独自の技術を取り入れている。

自動車用「空気清浄機」が注目されている根本理由 市場規模は2500億円、賛否両論のワケとは

 近年、多くの自動車メーカーが標準装備として空気清浄機能を搭載したモデルを発表しており、特に高級車にこの傾向が顕著だ。例えば、最新の車両モデルでは、エアコンシステムと連動してナノイー技術やイオン発生機能を活用し、自動的に空気質を管理する空気浄化システムが導入されている。

 自動車用空気清浄機とは、車内の空気を清浄化するために設計されたデバイスのことだ。乗車中に発生するホコリ、花粉、微細な粒子、タバコの煙、悪臭などを除去する役割を持っている。空気清浄機にはフィルターやイオン生成技術など、いくつかの種類があり、車内の空気質を向上させることを目的としている。

 最近では、外付けタイプの空気清浄機が多く発売されており、スマートフォンと連携して使用状況を確認できる機種も増えて、利便性が向上している。

 このような状況を裏付けるデータもある。インドの調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトによれば、2024年の世界の自動車用空気清浄機市場の規模は

「17億2000万ドル(約2537億円)」

で、2032年までに64億ドルに達すると予測されている。また、年間平均成長率(CAGR)は17.8%と見込まれており、消費者の健康意識の高まりや空気汚染の増加、自動車メーカーの取り組みがこの成長を後押ししている。

 しかし、その効果については賛否がわかれている。本稿では、その理由について紹介する。

 自動車用空気清浄機が支持される理由のひとつは、健康を守りつつ車内の空気を改善できる点だ。現代社会では、車内で過ごす時間が増えており、車内の空気を清潔に保つことが重要視されている。

 特にアレルギーを持つ人々にとって、空気清浄機は非常に有用だ。花粉やホコリが多い時期には、車内に持ち込まれるアレルゲンを効果的に除去することで、快適なドライブが可能になる。

 また、アレルギーやぜんそくを持つ人、免疫力が低い高齢者や子どもにとっても、清潔な車内環境は重要だ。高性能なフィルターが花粉や微小粒子状物質(PM2.5)を除去し、健康リスクを軽減できる。

 さらに、進化したフィルター技術により、臭いや揮発性有機化合物(VOC)を取り除き、新鮮な空気を提供する。これにより、長時間のドライブや家族旅行中も快適な車内環境を維持できる。多くのドライバーや同乗者にとって、リラックスできる安全な環境を提供している。

 実例として、ボルボ・カーズは2022年5月に最新の空気清浄化技術を導入し、車内の空気質を向上させる取り組みを行った。特に90シリーズおよび60シリーズの新型車に搭載された「アドバンスト・エア・クリーナー」は、アレルギー基準協会(ASL)から、流入する空気から花粉アレルゲンを最大99.9%除去できると認定されている。

 また、PM2.5センサーを搭載し、車内のPM2.5濃度を測定する機能もあり、車内の空気質を改善し、健康への悪影響を減らせる。さらに、センターディスプレーには屋外の花粉や大気質のレベルを示すライブデータが表示され、ドライバーは車内の空気浄化の必要性を判断できる。

 ボルボ・カーズは、空気清浄技術を定期的にテストし進化させることで、より快適で健康的な運転体験を提供し、競争力を高めることを目指している。ほかの自動車メーカーでも同様の取り組みが進んでおり、自動車用空気清浄機は快適な車内空間を提供する重要な要素となりつつある。