カナダ政府が鉄道労使に交渉妥結の努力要請 貨物輸送停止を懸念
カナダ政府は、鉄道大手2社と労働組合の労使交渉が難航している状況で、貨物輸送の全面停止を避けるための努力を呼びかけている。
労使交渉が合意に至らない場合、カナダで初めて貨物輸送サービスが全面停止する可能性があり、これによる経済への影響が懸念されている。
政府は両社と労働組合との協議を続けており、交渉が決裂すれば強制力のある調停プロセスに入る権限も持っているが、現時点では交渉による合意を模索している。
David Ljunggren Promit Mukherjee
[オタワ 19日 ロイター] - カナダ政府は19日、鉄道大手2社と鉄道技術者や車掌など約1万人が加入するチームスターズ労働組合に対して、労使交渉妥結に向けてさらに努力し、貨物輸送の全面停止を避けるよう働きかけた。
カナディアン・ナショナル鉄道(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティ(CPKC)の両社は、労使交渉が合意に達しない場合、ロックアウトを実施すると通告しており、早ければ22日から同国で初めて貨物輸送サービスが全て止められる。
カナダでは食用穀物から肥料、さまざまな加工製品まで鉄道輸送への依存度が高く、産業界からは輸送停止によって1日当たり10億カナダドル(7億3300万米ドル)の損害が発生するとの試算も出されている。
こうした中で政府の関係部門は両社やチームスターズと話し合いを続けているが、今のところ進展は乏しいもよう。チームスターズ側は、CNとCPKCが安全基準を緩めようとしていると批判し、両社はこれを否定する。
マッキノン労働相はX(旧ツイッター)への投稿で、交渉が決裂すれば全国民に影響が及ぶと強調。「各当事者は交渉合意に必要な努力を払い、貨物輸送の全面停止を防がなければならない」と訴えた。
同相には、両社とチームスターズを強制力のある調停プロセスに入らせる権限があるが、今のところ交渉を通じて溝を埋めてほしい考えだ。