県外ディーラーとの「新車商談」は本当にお得なのか? 知っておきたい裏事情と成功の秘訣とは

AI要約

自動車ディーラーの値引き商談についてのテクニックと、その実際についての考察。

ディーラーの経営構造についての説明と、他県のディーラーでの値引き交渉についての注意点。

値引き額は車格やオプション構成によって異なるため、ネット情報を参考にする際の注意点。

県外ディーラーとの「新車商談」は本当にお得なのか? 知っておきたい裏事情と成功の秘訣とは

「同じ車種でも、県外のディーラーに見積もりに行って商談すれば高い値引きが得られる」

という話を、自動車雑誌やネットの記事で見聞きしたことがある人もいるだろう。

 値引き商談に活用できるテクニックではあるが、ディーラーの営業マンは、そうした商談をするユーザーをどのように見ているのだろうか。

 実際にそのような人が来店したとき、営業マンはどのようなイメージを持つのか、本稿では筆者(宇野源一、元ディーラー)自身の経験も踏まえて書く。また、実際にクルマを購入する際にはどのように振る舞うべきなのか。営業の立場から説明する。

 実際の商談に入る前に、ディーラーの経営について知っておく必要があるだろう。自動車にあまり詳しくない人のなかには、ディーラーは

「自動車メーカーが経営している」

と思っている人もいる。これは

「半分本当」

で半分間違いである。メーカーの資本が入っているディーラーもあるが、完全直営のディーラーはほとんどない。それ以外のディーラーは、

「地元資本」

が入った一般企業が、メーカーの看板を掲げて商売をしている。いわゆるコンビニエンスストアのようなフランチャイズ経営と理解したほうがいい。

 これらは各都道府県にある。メーカー系ディーラーのなかには、複数の都道府県にまたがって営業しているところもあるが、基本的には同じ都道府県内だけで営業しているところが多い。

 また、同じ県内でも経営母体が異なる企業もある。近くのディーラーのウェブサイトを見たら、会社概要などからその詳細について知ることができる。

 さて、冒頭の

「同じ車種でも、県外のディーラーに見積もりに行って商談すれば高い値引きが得られる」

である。結論からいうとおおむねそのとおりで、他社と競合させることで値引き競争を起こせる。家電製品を買うときに複数の店舗と交渉することがあるが、これを他県のディーラーで行う商談に置き換えてもいい。ただし、信用してはいけない部分がある。それは

「値引き額」

である。クルマを買うすべてのユーザーが同じ条件で買うわけではない。その理由は

「選ぶオプション」

にある。オプションの多いクルマを買いたい人もいれば、オプションをまったく装着しないクルマを買いたい人もいる。人それぞれだ。

 オプション(特にディーラーオプション)は多ければ多いほど、値引きを引き出せる。また、コーティングなどディーラーの利益率が高いオプションを選べば、その分値引きを大きく交渉できる。それゆえ、

「ネットで『〇〇万円引き』という記事を見たので、それくらいの値引きが欲しい」

と話すのは得策ではない。値引きは車両本体とディーラーオプションの

「両方」

から可能だ。値引き額は車格やオプション構成によって異なる。ネット上の情報はあくまで参考にとどめてほしい。