“神戸ブランド”はこのまま失墜か?復権か? 全く止まらぬ人口減少、神戸市が挑む再生計画の吉凶とは

AI要約

神戸市が駅前などを手直しし、街の魅力向上を目指す「リノベーション神戸」が形を見せてきた。西神ニュータウンでは、開発が進み、市営地下鉄の再開発計画も進行中。

リノベーション神戸は、1995年の阪神・淡路大震災後の復興を背景に始動。神戸の魅力再生と人口流出の防止を目指している。

「神戸ブランド」の復活を目指す一方で、兵庫県明石市の子育て施策や観光の低迷が課題となっている。

“神戸ブランド”はこのまま失墜か?復権か? 全く止まらぬ人口減少、神戸市が挑む再生計画の吉凶とは

 神戸市が駅前などを手直しし、街の魅力向上を目指す「リノベーション神戸」が形を見せてきた。人口減少に歯止めがかかる気配がないなか、“神戸ブランド”復権はできるのか。百貨店のそごう西神店が撤退した駅前のビルは、個性豊かな店舗が並ぶショッピングセンター「エキソアレ西神中央」に。隣の商業施設「プレンティ西神中央」もリニューアルで館内を一新した。西神ニュータウンの玄関に当たる神戸市営地下鉄西神中央駅(西区)周辺は、ここ数年で少しずつ変化が見える。

 駅の近くには西区役所が移転してきた。それに続いて図書館と西神中央ホールで構成される市の「なでしこ芸術文化センター」や子育て広場「こべっこあそびひろば」も開館している。8月上旬の平日、遊具を備えた子育て広場は、午前中から親子連れでにぎわっていた。

 駅の西側では最近供給実績がないファミリー向け民間賃貸マンションが建設中だ。市未来都市推進課は

「リノベーション神戸が呼び水になって民間投資が進むことを期待していた」

と歓迎している。

 西神ニュータウンは西区と一部須磨区にまたがって市が整備した。住宅団地と産業団地を持つ複合機能団地で、住宅団地は1982(昭和57)年に北の西神中央、1985年に南の神戸研究学園都市、1993(平成5)年に中間の西神南が街開きした。

 開発規模は3団地併せて約1350ha(東京ドーム289個分)。3団地を貫く形で市営地下鉄西神・山手線が走り、終点の西神中央駅から市中心部の三宮駅(中央区)までを約30分で結ぶ。市は今後、広さ約9万平方メートルの市営地下鉄西神車庫用地のうち、約5haを再開発する計画だ。

 リノベーション神戸が始動したのは2019年。市は1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で壊滅的な損害を受け、

「1兆3000億円」

を超す市債を発行して復興を急いできた。市債の償還が重い負担となり、街づくりなどに十分な予算を割けずにいたが、復興にようやくめどが立ったことが事業着手のきっかけだ。

 復興を進める間に首都圏や大阪市だけでなく、

・子育て施策を充実させた兵庫県明石市などに人口が流出した

・異国情緒を売りにした観光が低迷する

など、かつて関西の若者を魅了した“神戸ブランド”に陰りが見えることも背景にある。