銅の松山英樹は「500万円が課税対象」、金3個の岡慎之助は「1770万円がすべて非課税」…パリ五輪「メダル報奨金の税金」は“どこからいくらもらうか”で大差が

AI要約

パリ五輪で日本代表は金メダル20個、メダル総数45個を獲得し、報奨金の税制について注目が集まっている。

JOCからの報奨金は非課税所得で、競技団体からの報奨金も税制改正により一部非課税となっている。

JOCからの報奨金は金500万円、銀200万円、銅100万円で、競技団体からの報奨金も同額までは非課税となる。

銅の松山英樹は「500万円が課税対象」、金3個の岡慎之助は「1770万円がすべて非課税」…パリ五輪「メダル報奨金の税金」は“どこからいくらもらうか”で大差が

 17日間の熱戦を終えたパリ五輪。日本代表は金メダル20個を獲得し、メダル総数45個で大会を終えた。メダルを獲得した選手には報奨金があるが、大きく3種類に分けられる。JOC(日本オリンピック委員会)、各競技団体、そしてスポンサー・所属企業からの報奨金だ。どこからどれだけの額を受け取るかで、大きく変わってくるのが「税金」だという。

 まず、メダル獲得者全員が手にできるのがJOCからの報奨金だ。金メダル500万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円と定められている。全国紙経済部記者が言う。

「一般に賞金などは一時所得に分類され、課税対象になります。しかし、JOCからの報奨金は所得税法で非課税所得になることが明記されている。以前は課税対象だったが、1992年のバルセロナ五輪で中学2年だった岩崎恭子選手に支給された報奨金が一時所得になったことが話題になり、1994年の税制改正でJOCから支給される金品が非課税になった。その後、JPSA(日本障がい者スポーツ協会)からパラリンピックメダリストに支給される報奨金も非課税になりました」

 一方、JOCの加盟団体(各競技団体)からも報奨金が出るケースがあり、その額は競技によって違いがあるが、こちらも税制改正を経てJOCからの報奨金と同額の金500万円、銀200万円、銅100万円までは非課税となる措置が取られている。

 今回のパリ五輪では体操の岡慎之助が、個人総合、鉄棒、団体総合の3種目で金メダル、さらに平行棒でも銅メダルを獲得した。4つのメダルに対してJOCからの報奨金は1600万円。さらに日本体操協会から170万円(金50万円×3、銅20万円×1)の報奨金が出るため合計は1770万円。これはすべて非課税ということになる。

 一方、競技団体から最も多くの報奨金が出たのはゴルフの松山英樹だった。銅メダルを獲得してJOCからの報奨金は100万円だが、JGA(日本ゴルフ協会)からは銅メダルの報奨金が600万円となっている。松山の場合、JOCからの報奨金は非課税となるものの、JGAからの報奨金のうち500万円(非課税枠の100万円を超えた分)は一時所得として課税対象ということになる。

 同様に、卓球女子シングルスで銅メダルだった早田ひなは、JTTA(日本卓球協会)から受け取る300万円の報奨金のうち200万円(非課税枠の100万円を超えた分)が課税対象の一時所得となる。

 一方、陸上競技の女子フィールド種目で史上初の金メダルを獲得したやり投げの北口榛花にはJAAF(日本陸上競技連盟)からの報奨金300万円があるが、金メダルは500万円まで非課税なので、税金はかからない。多くの競技団体からの報奨金がJOCからの報奨金と同額、あるいはそれ以下に設定されているに背景には、こうした事情があるのかもしれない。