【インタビュー】「売名」「偽善」と言われても……杉良太郎が提言する「刑務所を株式会社に」

AI要約

杉良太郎が特別矯正監を務める中で、刑務所や矯正施設の改善を行ってきた過程を述べる。

杉良太郎が自身の行動や寄付に対する偽善や売名の批判について語る。

日本と欧米のボランティアや寄付習慣の違いや、税制面での影響について述べる。

【インタビュー】「売名」「偽善」と言われても……杉良太郎が提言する「刑務所を株式会社に」

 歌手、俳優の杉良太郎が8月14日に80歳を迎えた。前編では刑務所慰問歴60年超の杉が、刑務官や受刑者の待遇改善について述べた。後編では「売名」「偽善」と言われた過去を語り、令和の刑務所のあり方について提言を行う。【前後編の後編】

(2023年2月2日記事の再掲載です。文中の年齢、年代表記等は掲載当時のものです)

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 私は平成8年に「名誉矯正監」を、平成20年に「特別矯正監」を拝命し、それに伴って私の役割も変わってきました。最も大きなものは、改善すべき点を明確にして必要な予算を獲得することです。平成28年4月に発生した熊本地震の後には刑務所や少年院などすべての刑事施設を、地震や津波、河川の氾濫といった災害が起きた際、市民が避難場所として利用できるようにしました。

 本来、こうした取り組みは政治の役割かもしれません。しかし、特別矯正監という立場だからこそできることがある。だから私は全国の矯正施設を回り、目で見て耳で聞いて問題点を炙(あぶ)り出している。それがいまの私の役割だからです。東日本大震災で炊き出しなどの支援活動をした時など、これまでには「売名だ」とか「偽善では」と言われました。しかし、私はただ自分にできること、すべきだと思ったことを行動に移してきたに過ぎません。

 ところで、日本と欧米のボランティアや寄付のありようには大きな違いがあります。文化や習慣も異なるからでしょうが、実は税制面でも大きな差があります。

 例えばアメリカでは、個人が100万円をチャリティーとして寄付すると、手続きをすることでほぼ全額が所得から控除される。つまりは税金対策にもなるわけです。日本で杉良太郎が1億円を寄付するのと、ハリウッドスターが1億円を寄付するのとでは本質的な意味合いがまったく異なる。それを多くの日本人はご存じない。

 いま、私がどこかの慈善団体に1億円を寄付したとしても、控除されて戻ってくる額はごくわずかです。もちろん、私はそれも寄付しますが、アメリカで1億円を寄付したら、日本よりも還付される額ははるかに多いんです。